次期米下院議長有力のジェフリーズ氏、「トランプ関税」廃止と対イラン戦争阻止を表明
概要
- ハキーム・ジェフリーズ氏は、トランプ関税の廃止を通じて米国民の物価負担を軽減する考えを示した。
- ジェフリーズ氏は、イラン戦争を阻止する法案に加え、メディケイド予算削減とオバマケア補助金を元に戻す立法を進める方針を明らかにした。
- エリザベス・ウォーレン氏が上院銀行委員会委員長に就けば、大手金融会社への監督強化と暗号資産規制の強化に動く可能性が高いと伝えた。
期間別予測トレンドレポート


上下両院を握った民主党、新指導部づくりに着手
「家計が耐えられる米国」掲げる
オバマケア復元など政策転換を予告
トランプ氏弾劾には「責任究明に集中」

11月3日に投開票された米中間選挙で上下両院を制した民主党が、次期指導部の構成に乗り出した。上院ではチャック・シューマー議員(ニューヨーク州)が民主党院内総務に就く可能性が高い。下院ではハキーム・ジェフリーズ民主党院内総務(ニューヨーク州)が、マイク・ジョンソン下院議長の後任となる見通しだ。
ジェフリーズ氏は11月4日(現地時間)、ワシントンの民主党本部で記者会見を開き、来年1月3日に発足する新議会の下院議長選に立候補すると表明した。これに先立ち、同僚議員に送った出馬書簡では、生活費負担の危機への対応、ドナルド・トランプ政権の責任究明、米国の価値の回復という3つの課題に注力する考えを示していた。ナンシー・ペロシ前下院議長の後継者と目されてきたジェフリーズ氏の議長就任は、民主党内で既定路線として受け止められている。
物価問題を最優先課題に
ジェフリーズ氏はこの日の会見で、「経済的に負担可能な米国」を意味する「アフォーダブル・アメリカ」をスローガンに掲げた。物価高で民心の離反を招いた共和党の二の舞は避ける構えだ。
具体策としてまず挙げたのが「トランプ関税」の廃止だ。ジェフリーズ氏は「米国民の物価負担を重くする愚かな関税だ」と批判し、「この関税のせいで、米国の一般家庭は毎年数千ドルの追加負担を強いられてきた」と語った。
対イラン戦争を阻止する考えも打ち出した。ジェフリーズ氏は「イランとの戦争を防ぐための法案も通過させる」と述べ、「全米でガソリン価格を押し上げた、無謀でコストのかかる選択的な戦争だった」と指摘した。ただ、新たな法案を上院で通すには3分の2以上の賛成が必要で、実際に成立するかは不透明だ。
また、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)の予算削減を元に戻す法案を成立させ、オバマケア(医療保険制度改革法=ACA)の補助金(税額控除)も復活させる方針を示した。もっとも、すでに40兆ドル(約6330兆円)を超えた米連邦政府の債務負担を、さらに重くする可能性がある。
トランプ大統領やピート・ヘグセス国防長官に対する弾劾の試みには、ひとまず一線を画した。ジェフリーズ氏はヘグセス長官の弾劾に関する質問に対し、「下院民主党議員の誰からも、弾劾について話を持ちかけられたことはない」と説明した。そのうえで、物価問題の解決と責任究明に集中する考えを強調した。
「初の黒人」「初の女性」「初のラテン系」
民主党の下院奪還は早くから予想されていたため、主要ポストの人事はすでに詰めの段階に入っている。現在、下院民主党院内幹事を務めるキャサリン・クラーク議員(マサチューセッツ州)は、ジェフリーズ氏が務めてきた院内総務職を引き継ぐ見通しだ。ジェフリーズ氏は、クラーク氏について「米国の250年の歴史で、その地位に就く初めての女性になる」と紹介した。クラーク氏の後任の院内幹事には、ピート・アギラール議員(カリフォルニア州)が就く予定だ。下院民主党の3トップは、初の黒人下院議長、初の女性多数党院内総務、初のラテン系多数党院内幹事という記録を打ち立てることになる。
クラーク氏は「民主党の中核的な目標は経済的負担の軽減になる」と述べた。「億万長者を優遇するのではなく、医療サービスを拡充し、住居費や公共料金を含む国民の負担を減らすことが私たちの課題だ」と訴えた。
米議会では多数党が各常任委員会の委員長を握るため、これに伴う政策転換も焦点となる。上院ではエリザベス・ウォーレン議員(カリフォルニア州)が銀行委員会委員長に就く可能性が取り沙汰されている。大手金融会社への監督を強化し、暗号資産に対しても一段と厳しい規制を試みる可能性が高い。
下院ではロバート・ガルシア議員(カリフォルニア州)が監視委員会の委員長に就き、トランプ政権を巡る各種の汚職問題を正面から追及する見通しだ。ガルシア議員は11月4日、トランプ大統領らに「弁護士を選任せよ」と促す内容の声明を出した。
ワシントン=イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com
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