AIヘッジファンドVARAの清算観測広がる AI関連株のレバレッジ投資懸念が再燃
概要
- 人工知能のヘッジファンドVARA清算観測を受け、AI関連株に集中したレバレッジ投資リスクと強制売却への懸念が強まっていると伝えた。
- 最近は世界のAI株バスケットの純売りが急増し、資金がヘルスケア・生活必需品などディフェンシブ銘柄に移るなど、ヘッジファンドのAI投資縮小の流れが出ているとした。
- 一部では高い資本コストと半導体サプライチェーンの受注空白の可能性を警戒する一方、別の見方ではAI需要とAI支出の持続可能性を根拠に、最近の軟調相場を投資ポジション調整と評価していると伝えた。
期間別予測トレンドレポート



人工知能(AI)特化型ヘッジファンドのVARAを巡る清算観測が広がり、AI関連株に集中したレバレッジ投資のリスクが改めて意識されている。実際に清算に入ったかどうかは確認されていないが、主要保有銘柄の同時安とヘッジファンド全般の投資縮小が重なり、強制売却への警戒感が強まっている。
10月15日、米国のソーシャルメディアや投資家コミュニティーでは、バリュー・アラインド・リサーチ・アドバイザーズ(VARA)が損失に耐え切れず保有株を処分しているとのうわさが広がった。ただ、これを裏付ける信頼できる報道や、具体的な清算規模は出ていない。
VARAはブラックロック(BlackRock)出身のベン・ホスキン氏と、ハドソン・リバー・トレーディング出身のデービッド・フィールド氏が2025年に設立したAI特化型ヘッジファンドだ。6月末時点で、123銘柄の普通株とオプションを合わせて約401億ドル(約6兆3400億円)規模のポジションを保有していた。普通株の評価額上位には、ブルーム・エナジーとネビウスがそれぞれ約17億ドル(約2690億円)、コアウィーブが約11億ドル(約1740億円)で並んだ。マイクロンやサンディスク、シーゲイトなどAIハードウエア企業も主要な投資先だった。
これらの銘柄が足元でそろって下落し、特定ファンドの損失が追加の売りを誘発しかねないとの懸念が強まった。借り入れを活用した投資では、株価下落で担保価値が目減りすると追加証拠金が必要になる。捻出のために資産を売却すれば、同じ銘柄を持つほかの投資家にも損失と売り圧力が波及しかねない。VARAは7月にも、1カ月で44%の損失を記録していた。
個別ファンドの清算観測とは別に、ヘッジファンド全体でAI投資を縮小する動きも確認されている。ゴールドマン・サックスのヘッジファンド・トレーディングデスクによると、8月8日から8月14日にかけての世界のAI株バスケットの純売りは、過去1年で2番目の大きさだった。2025年初め以降に積み上がった純買いもすべて吐き出した。新規の空売りより、既存の買い持ち高を解消する取引が圧倒的に多かった。資金はヘルスケアや生活必需品などのディフェンシブ株に移っている。
資金調達環境も投資家心理の重荷になっている。ゴールドマン・サックスのリッチ・プリボロツキー氏は「資本コストが高いため、需要が実際の設備投資につながらない恐れがある」と指摘した。そのうえで「最悪の場合、半導体サプライチェーンは2027〜2028年に『受注の空白』に直面しかねない」と警告した。AI需要が維持されても、借り入れコストの上昇でデータセンター建設や設備発注が遅れる可能性があるという。
一方、AI産業の需要そのものが崩れたとみるのは早計との見方もある。バークレイズは、ASMLやTSMCの需要見通しなどを根拠に、最近の軟調相場には投資ポジション調整の影響が大きいと分析した。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の最高財務責任者(CFO)は「AWSのAIサーバー投資の回収期間は3年未満だ」と述べ、「AI需要は実在し、AI支出は持続可能だ」と強調した。
今後の決算発表では、大手クラウド企業が拡大した投資を利益とキャッシュフローとして回収できているかが主要な争点になる見通しだ。シタデル・セキュリティーズのスコット・ラブナー氏は「10〜12月期の米国株市場を引き続き前向きにみている」と述べる一方、「今後数週間はファンダメンタルズが試される局面になる」と語った。