米銀株が下落 高金利で債券取引低迷が直撃
概要
- 米大手銀行は、7〜9月期に債券トレーディングの不振と引当金積み増しの拡大が収益性の重荷になったと明らかにした。
- JPモルガン、ゴールドマン・サックス、シティ、ウェルズ・ファーゴは、前年同期比で売上高・純利益が増加したものの、直前四半期比で業績が鈍化し株価下落につながったと伝えた。
- 一部では、貸出延滞率やクレジットカード利用額の増加を踏まえ、米国の消費が成長を主導しているとの見方もある。
期間別予測トレンドレポート


4〜6月期比で業績の伸び鈍化
インフレ・地政学リスクも重荷
「米消費が成長主導」との楽観論も

JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)やゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)など米大手銀行は、2026年7〜9月期に4〜6月期並みの好況を享受できなかった。主要な手数料収入源のうち株式取引は活発だったが、金利上昇の影響で債券取引が鈍化したことが響いた。今後の追加利上げに伴う債券損失に備え、引当金を積み増したことも収益性の重荷になった。市場では、高金利局面が長引けばウォール街の金融株の業績への逆風が一段と強まるとの懸念が広がっている。
JPモルガン、ゴールドマン・サックス、シティ(Citi)、ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)の米大手4行は10月13日、7〜9月期決算を発表した。4行とも前年同期に比べて売上高と純利益は増えた。JPモルガンの7〜9月期売上高は501億7000万ドル(約7兆9400億円)、純利益は153億1000万ドル(約2兆4200億円)で、それぞれ前年同期比8.1%増、6.4%増だった。ゴールドマン・サックスとシティの7〜9月期純利益はそれぞれ52億9000万ドル(約8380億円)、52億5000万ドル(約8310億円)で、前年同期比29.1%増、39.8%増だった。おおむね市場予想に沿う内容だった。JPモルガンの1株利益(EPS)は市場予想を3.2%下回ったが、残る3行は最大32.3%上回った。
ただ、市場の反応は冷ややかだった。同日のシティ株は5.6%安、ウェルズ・ファーゴ株は3.1%安となるなど、決算を発表した4行の株価はそろって下落した。市場は、直前四半期に比べてウォール街大手行の好調ぶりが弱まった点を嫌気した。4行とも前四半期比で売上高が3.3〜12.5%減り、純利益も7.1〜27.6%減ったためだ。
金利上昇の影響で、銀行の主要収益源の一つである債券トレーディングが振るわなかったことも市場の警戒感を強めた。JPモルガンは10月13日に公表した7〜9月期決算で、債券・為替・商品(FICC)トレーディング収入が前年同期比4%減ったと明らかにした。ゴールドマン・サックスのFICC関連収入も前年同期を1%下回った。
決算発表後のカンファレンスコールで、各行の経営陣は業績見通しについて慎重な姿勢を示した。JPモルガンは、大規模な財政赤字、なお根強いインフレ、高い資産価格、金利上昇、地政学的な不安を主なリスク要因に挙げた。
9月以降、企業やプライベートエクイティファンド(PEF)など顧客企業によるM&A、IPO、社債発行といった資金調達活動が鈍っていることも重荷と受け止められた。米10年物国債利回りが10月初めに約25年ぶりの高水準まで上昇した影響とみられる。
一方で、楽観論も一部にある。個人消費に関わる貸出延滞率や預金残高に目立った異変が出ていないためだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、JPモルガンの7〜9月期のクレジットカード・デビットカード利用額は前年同期比10%増えた。ウェルズ・ファーゴとシティのクレジットカード利用額もそれぞれ11%、12%増加した。ジェーン・フレイザー米シティグループ最高経営責任者(CEO)は「米国を中心とする世界経済は驚くほどよく持ちこたえてきた」と述べ、「消費が成長のかなりの部分を主導している」との見方を示した。
ニューヨーク=ファン・ジョンス特派員 hjs@hankyung.com
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