アンソロピック、最大2兆ドル評価でIPO推進 AIバリュエーションの試金石に
概要
- アンソロピックは最大 2兆ドル の 企業価値 と最大 1000億ドルのIPO調達 を目標に、年内の 米株式市場上場 を進めていると伝えられた。
- 2025年の 売上高46億ドル は前年の約12倍に増えたが、営業損失80億6000万ドル、純損失420億ドル、コンピュート・インフラ費用73億3000万ドル、5180億ドルの契約義務 が重荷となっている。
- ハナ証券は、売上高成長の持続性 と コンピュート費用の効率化 が バリュエーション正当化の核心変数 だと分析した。今回の アンソロピックIPO は、フロンティア AI企業のバリュエーション と インフラ投資サイクル を見極める基準になり得るとも指摘した。
期間別予測トレンドレポート



人工知能(AI)企業のアンソロピック(Anthropic)が、最大2兆ドルの企業価値を目標に米株式市場への上場を進めている。売上高は急拡大している一方で巨額の赤字と莫大なコンピュート費用が続いており、フロンティアAI企業のバリュエーションを公開市場がどう評価するかに注目が集まっている。
10月1日にブルームバーグなどが伝えたところによると、アンソロピックは11月9日に始まる週に新規株式公開(IPO)のロードショーを実施した後、同月26日に感謝祭前の取引開始に踏み切る案を検討している。日程がずれ込んだ場合でも、年内に上場を終える可能性がある。
投資家の間で取り沙汰されている企業価値は1兆8000億〜2兆ドルで、上限は2兆ドルに達する。ハナ証券は、IPOを通じて最大1000億ドル(約15兆8000億円)を調達できると分析した。実現すれば、6月に750億ドルを調達したスペースXを上回り、過去最大のIPOになる可能性もある。
こうした高い評価を支えるのは急ピッチの成長だ。アンソロピックの2025年の売上高は46億ドル(約7260億円)と、前年の約12倍に増えた。半面、営業損失は80億6000万ドル(約1兆2700億円)と、前年の29億8000万ドル(約4700億円)から大きく拡大した。純損失は約420億ドル(約6兆6300億円)で、このうち約340億ドル(約5兆3700億円)は、過去に発行した株式転換可能な金融商品の価値上昇に伴う非現金費用だった。
AIモデルの学習と運用にかかるコンピュート費用も重荷となっている。2025年の営業費用126億5000万ドル(約2兆円)のうち、コンピュート・インフラ費用は73億3000万ドル(約1兆1600億円)と半分を超えた。今後数年で支払いが必要となるクラウド、コンピュート、インフラ関連の契約義務も5180億ドル(約81兆8000億円)に上る。
売上高の集中も変動要因だ。2025年の売上高全体の約25%は2社の顧客が占めた。主要顧客の相当数が長期契約を結んでいないため、利用量の減少や契約終了が業績の変動性につながる可能性がある。
ハナ証券のキム・ジェイム研究員は、売上高成長の持続性とコンピュート費用の効率化が、バリュエーション正当化の核心的な変数になると分析した。
アンソロピックは上場後も創業者中心の支配構造を維持する計画だ。共同創業者7人が参加する別組織が、主要な意思決定について50.1%の議決権を行使する仕組みという。
キム研究員は、アンソロピックのIPOについて、大型フロンティアAI企業の事業性と収益性を公開市場が本格的に検証する初の事例になると指摘した。上場後の市場評価は、オープンAIをはじめとするAI企業のバリュエーションや開示基準、インフラ投資サイクルを見極める物差しにもなりそうだ。