WSJ「ラガルドECB総裁、バイナンスのEU進出を直接阻止」
概要
- クリスティーヌ・ラガルドECB総裁がギリシャ首相に対し、バイナンスの暗号資産事業者ライセンスの承認を見送るよう求めたと報じられた。
- 世界最大の暗号資産交換業者であるバイナンスのEU市場進出が頓挫し、ドル建てステーブルコインの拡大とデジタルユーロの立場低下への懸念が背景にあると伝えた。
- バイナンスはギリシャHCMCの最終結論前にライセンス申請を自ら取り下げ、EU利用者向けサービスの宣伝も停止した。
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クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が、世界最大の暗号資産交換業者バイナンスの欧州連合(EU)市場進出を阻むため、ギリシャ政府に直接働きかけていたことが分かった。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は9月17日、関係者の話として、ラガルド総裁がギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相に対し、バイナンスの暗号資産事業者ライセンスを承認しないよう求めたと報じた。
バイナンスはギリシャの金融当局を通じ、EU全域で通用するライセンスを申請していた。ギリシャ当局は6月上旬、欧州証券市場監督機構(ESMA)のデジタル金融委員会に対し、バイナンスの申請を承認する方針を伝えていたという。当時のバイナンスは欧州市場進出の正式発表に向けた準備を終えており、リチャード・テン最高経営責任者(CEO)のアテネ訪問も計画していた。
だが、その後にギリシャ資本市場委員会(HCMC)関係者が、ラガルド総裁の反対意向をバイナンス側に伝え、状況は一変した。ラガルド総裁は、バイナンスが過去に規制順守を巡る問題で米国で金融犯罪関連の罪を認めた経緯を懸念していたとされる。
反対の背景としては、ドル建てステーブルコインの欧州域内での影響力拡大も挙がっている。世界最大の暗号資産交換業者であるバイナンスがEU市場に進出すれば、ドル建てステーブルコインの利用が増え、ECBが進めるデジタルユーロの立場が弱まるとの見方があったためだ。
もっとも、ECBに欧州暗号資産市場法(MiCA)に基づく交換業者ライセンスを直接承認または拒否する権限はない。関連審査は各加盟国の金融当局が担い、1カ国で認可を受ければEU全域でサービスを提供できる。
バイナンスは、HCMCが正式な結論を出す前の6月中旬に申請を自ら取り下げた。その後、7月までにライセンスを確保できず、EU利用者向けサービスの宣伝も停止した。HCMCは、バイナンスの申請をギリシャとEUの規則に基づいて独立して審査したとの立場を示している。