「安い中国製品ではもう持たない」 米財務長官、G20に対中共同関税を提起へ
期間別予測トレンドレポート


「安い中国製品ではもう耐えられない」
ベッセント氏が打ち出す対中共同関税
G20財務相・中央銀行総裁会議で各国に貿易障壁を促す考え
米財務長官「中国の貿易黒字は1兆2000億ドル
輸出を食い止められるかは各国の対応次第」
対中圧力を多国間へ転換
関税をてこに人民元切り上げ促す
「第2のプラザ合意」論も浮上

貿易戦争の拡大に動くベッセント氏
スコット・ベッセント米財務長官は、G20財務相・中央銀行総裁会議を翌日に控えた8月30日、ロイターとのインタビューで、世界的な不均衡を是正する手段として、中国との貿易条件の見直しをG20各国に促す考えを示した。米国以外のG20諸国にも、中国製品への高関税や一部品目の輸入禁止などを通じ、対中貿易戦争に積極的に加わるよう求める内容だ。
ベッセント氏は、中国政府が輸出ではなく内需の育成に力を注ぐべきだとも主張した。内需低迷を背景に、中国が国内で消化できない過剰生産分を安値で輸出し、輸入国では製造業が傷み、貿易赤字と債務負担が膨らむというのが同氏の認識だ。同氏は、弱い内需を輸出で補おうとする中国を抑え込めるかどうかは各国の対応にかかっていると強調した。
狙いは、中国との貿易戦争を米中の二国間対立から多国間の圧力構図へ切り替えることにある。米国のけん制にもかかわらず、中国の貿易黒字は縮小していない。中国海関総署とゴールドマン・サックスによると、中国の貿易黒字は2021年の6764億ドル(約108兆円)から2025年には1兆1890億ドル(約190兆円)に拡大し、2026年は1兆2000億ドル(約192兆円)に達する見通しだ。米国市場で押し出された中国製品が、欧州や中南米など他地域に流れ込む風船効果が背景にある。
人民元切り上げも圧力材料に
中国の貿易黒字は、相手国の赤字につながる。ベッセント氏は、2025年から1兆ドルを超える黒字を計上する中国を世界経済がこのまま支え続けることはできないと警告した。
各国の中国への警戒感は強まっている。中国発の「輸出攻勢」を食い止めるため、中国を相手に30年ぶりに「プラザ合意」を結ぶべきだという声も出ている。プラザ合意は1985年に米国、日本、西ドイツ、英国、フランスがドルの価値を引き下げ、円高を促すために結んだ国際通貨政策の協調だ。急増した米国の貿易赤字を減らすのが目的だった。
もっとも、足元で浮上している構想は1985年当時とはやや異なる。米外交問題評議会の分析では、人民元は適正価値に比べ最大35%割安だ。人民元の価値を引き上げるべきだという主張である。人民元安は中国製品の価格競争力を高め、輸出に有利に働く。ゴールドマン・サックスによると、中国の生産コストは海外競合に比べ、電気自動車が32%、冷蔵庫が38%、靴が53%低い。
米経済界では、主要国が中国製品に共同関税を課し、中国が人民元を切り上げれば関税を引き下げる方式を提案している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、過大評価されたドルの価値を下げるのではなく、過小評価された中国の人民元の価値を引き上げることを目標にすべきだと主張した。
共同戦線を築けるか
2025年に中国との貿易で4120億ドル(約66兆円)の赤字を計上した欧州連合(EU)は、中国製品への警戒感が強い。ただ、中国との高い貿易依存を無視できない事情もある。ブラジルをはじめとする中南米諸国も、中国に対して全面的な貿易障壁を築くことには消極的とみられる。米国の要求をG20各国がそのまま受け入れるかは不透明だ。
10月に予定するEUと中国の貿易交渉は、対中多国間圧力の実現可能性を見極める分水嶺となりそうだ。米国がG20各国の協力を引き出すには、「アメ」も必要だとの指摘がある。
ニューヨーク=ファン・ジョンス特派員/イ・ヘイン記者 hjs@hankyung.com
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