ビットコイン、8万ドル突破後も上値余地 3日で22%上昇
期間別予測トレンドレポート



- 米財務省の国債買い戻し拡大期待で金に買い
米財務省が長期国債の買い戻しを拡大する方針を示し、国債利回りとドル相場を押し下げるとの期待が広がっている。これを受け、金価格の上昇を見込む動きが強まっている。ドイツ銀行(Deutsche Bank)は、今回の政策変更が金価格を1オンス4800ドル(約76万円)超まで押し上げる可能性があるとみている。
金の現物連動型上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)のコールオプション未決済建玉は、先週時点でプットオプションを約250万枚上回った。2月以降で最大の開きとなる。コールオプションは金価格の上昇に、プットオプションは下落に賭ける権利を指す。未決済建玉でコールが大きく上回るのは、投資家が金高に積極的に備えていることを示す。
金価格は足元3週間で15%上昇した。先週も5%超上げ、5週連続の上昇となった。もっとも、過去最高値と比べるとなお17%低い水準にある。
米財務省は、長期国債買い戻しの1回当たりの上限額を従来の20億ドル(約3190億円)から少なくとも40億ドル(約6370億円)に引き上げると明らかにした。財務省一般勘定(TGA)にある約1兆ドル(約159兆円)を買い戻し原資に充てるとの観測も出ている。
ドイツ銀行のマイケル・シュー氏は、財務省の政策変更が金に対する強気見通しを一段と支えると分析した。長期金利の上昇を抑え、ドル安を促す可能性があるためだ。
ドル指数は8月に入って約0.8%下落した。国際金価格はドル建てで表示されるため、ドル安が進むと他通貨を使う投資家の購入負担は軽くなる。金利が下がれば利子を生む国債の魅力は薄れ、利息の付かない金の相対的な魅力は高まりやすい。
ブリッジウォーター・アソシエーツ(Bridgewater Associates)創業者のレイ・ダリオ氏は、政府債務の拡大に伴う債務危機に備えるため、資産配分の最大10〜15%を金で保有し得ると助言した。
投資家は今週のジャクソンホール会議でのケビン・ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長の発言にも注目している。シティ(Citi)は、ウォーシュ議長がタカ派姿勢を示せばドルと国債利回りが上昇し、金の上昇基調はいったん鈍る可能性があると指摘した。一方、ハト派的なシグナルが出れば一段高の材料になるとみている。
- ビットコイン、3日で22%急騰し8万ドル突破 ETFに19億ドル流入
ビットコインは先週約22%急騰し、2023年以降で最大の3日間上昇率を記録した。8万ドルの節目も突破した。現物ETFへの機関資金流入に加え、大規模なショートスクイーズと売り圧力の後退が重なり、一段高への期待が強まっている。
ビットコインは先週、200日移動平均線である約6万9050ドル(約1100万円)を上回った。その後も上昇基調を保ち、一時は2%超高い8万501ドル(約1280万円)を付けた。200日移動平均線は直近200日間の平均価格を示す指標で、これを上回ると長期の下落基調から抜け出す可能性を示すシグナルと受け止められる。
上昇局面では、下落に賭けていた投資家の強制清算も起きた。暗号資産市場では40億ドル(約6370億円)超のショートポジションが清算された。ショートスクイーズは、価格下落を見込んでいた投資家が損失を抑えるため買い戻しを迫られ、上昇がさらに加速する現象を指す。
現物ビットコインETFには先週、19億2000万ドル(約3060億円)が純流入した。2025年10月以降で最大となる。ETFへの資金流入は、今回の反発が強制清算だけに依存したものではなく、機関投資家などの自発的な買いも伴っていたことを示す。
米財務省が長期国債の買い戻し拡大を発表した後、長期金利が一時的に低下したことも、リスク資産選好の回復を後押しした。米国の財政とインフレを巡る懸念が強まるなか、発行上限が2100万枚に限られるビットコインを希少資産とみる需要も増えている。
ニーダム(Needham)は、2026年上半期にビットコイン採掘企業と暗号資産保有企業が合計42億ドル(約6690億円)分のビットコインを売却し、売り圧力のかなりの部分が解消されたと分析した。投資家心理を示す指標も2022年以降で最も低い水準まで落ち込んでおり、新たな買い資金が入れば相場は一段と上がりやすいと説明した。
22Vリサーチは、ビットコインの通常の週間変動率がおよそ3%であるのに対し、先週の上昇率は約22%に達したとして、統計的に極めて異例の値動きだと評価した。ファンドストラット(Fundstrat)は、現物ETFへの資金流入、取引増加、ステーブルコイン発行拡大を根拠に、今回の上昇が短期反発で終わらない可能性があるとの見方を示した。
イーサリアムは1.17%高の2498ドル(約39万8000円)、XRPは2.6%高の1.52ドル(約242円)で取引された。XRPは直近7日間で約50%上昇した。
- ブロードコムのCDS、40bpから120bpに上昇
ブロードコム(Broadcom)のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムがここ数カ月で約40ベーシスポイントから120ベーシスポイントへ上昇した。AI半導体販売を支える金融の仕組みに対する債券市場の警戒が強まっている。
CDSは、企業が債務を返済できなくなるリスクを売買するデリバティブである。ブロードコム債の保有者がデフォルトリスクを避けるには、CDSの売り手に定期的なコストを支払う必要がある。CDSスプレッドの上昇は、そのコストが増え、市場が同社の信用リスクを従来より高く見積もっていることを意味する。
例えばCDSが120ベーシスポイントなら、1000万ドル(約15億9000万円)分のブロードコム社債に保険をかけるため、年間で約12万ドル(約1910万円)を支払わなければならない。40ベーシスポイントから120ベーシスポイントへの上昇は、投資家のリスク回避コストが3倍に増えたことを示す。
もっとも、ブロードコムのCDSがテクノロジー企業で最も高いわけではない。オラクル(Oracle)は約220ベーシスポイント、スペースX(SpaceX)は約165ベーシスポイントと、いずれもブロードコムを上回る。焦点は絶対的な信用リスク水準ではなく、ここへきて他の主要テック企業より信用不安の高まり方が急だった点にある。
市場は、ブロードコムがAI半導体を売るだけでなく、顧客の資金調達まで支援する構図に目を向けている。同社は、アポロ・グローバル・マネジメント(Apollo Global Management)やブラックストーン(Blackstone)が参加する350億ドル(約5兆5700億円)規模の資金調達に関与している。追加の半導体購入に向け、600億ドル(約9兆5600億円)超の負債が調達される可能性も取り沙汰されている。
この仕組みでは、投資会社が特別目的会社(SPV)に資金を供給し、SPVがブロードコムのカスタムAIチップとサーバー機器を購入する。アンソロピック(Anthropic)は機器を直接買う代わりに、SPVが保有する計算資源を借りて利用料を支払う。ブロードコムは半導体販売時点で売上高を計上する。
問題は、AI企業の収益化が期待を下回った場合だ。アンソロピックが計算資源への投資を減らせば、SPVの賃料収入と債務返済能力は弱まり得る。ブロードコムが保証やバックストップを提供していれば、売上が減る局面で金融支援の負担まで抱え込むおそれがある。
とりわけブロードコムのカスタムASICは特定顧客のシステム向けに設計されており、他顧客への再販売は比較的難しい。顧客需要が鈍れば、設備の残存価値が下がる可能性がある。
CDSの上昇は、ブロードコムに差し迫ったデフォルトリスクがあることを意味しない。ただ、債券市場はAI半導体売上の成長性だけでなく、その売上を作る過程で同社が負う保証や金融リスクも、より高い価格で織り込み始めた。
- 中国の半導体自給率、生産量ベースで70% EUVなしで7ナノに挑戦
中国は大規模な設備投資を背景に、半導体の生産量ベース自給率を急速に高めている。ただ、最先端露光装置の不足により、7ナノ以下工程のコストや歩留まり、高性能半導体の海外依存にはなお限界がある。
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、中国の半導体自給率が生産量ベースで2010年1月の38%から2026年6月には70%まで上昇したと分析した。ただし、これはあくまで生産数量ベースだ。価格や技術水準を反映した金額ベースの自給率はこれを下回る可能性がある。
中国はエッチング装置や成膜装置中心の国産化から一歩進み、イオン注入、検査、計測装置まで供給網を広げている。回路を描く露光、不要部分を削るエッチング、薄膜を形成する成膜、欠陥を見つける検査・計測まで、製造装置全般を押さえる戦略である。
中国にとって最大の制約はEUV露光装置だ。EUVは7ナノ以下の微細回路を効率的に製造する中核装置だが、事実上唯一の商業供給者であるオランダのASMLの装置を、中国は米国の輸出規制で導入できない。
中国は既存の深紫外線(DUV)装置で回路を何度も分けて描くマルチパターニング方式により、7ナノ級半導体の生産に挑んでいる。ただ、工程回数が増えれば生産時間とコストが膨らみ、回路誤差や不良率も高まりやすい。7ナノ半導体を作れることと、低コストで安定的に量産できることは別問題である。
ゴールドマン・サックスは、中国の7ナノ以下先端ロジック半導体の供給不足率が2035年時点でも約34%残ると予想した。中国のAIアクセラレーター性能は、2023年のFP16基準320テラフロップスから、2028年10〜12月期にはFP8基準で4ペタフロップスまで高まると見込んでいる。
中国の2030年の半導体設備投資は820億ドル(約13兆1000億円)と、従来予想より79%多くなると推計された。半導体自立、生成AI需要、輸出規制への対応、中国製品の優先採用戦略が投資を後押しする要因である。
中国最大のDRAMメーカーであるCXMTは、2028年に中国国内のDRAM需要の約50%を供給すると予想された。月間ウエハー生産能力は2030年に66万5000枚となり、2026年比で2倍超に増える見込みである。
ゴールドマン・サックスは、2028年のCXMTの汎用DRAM供給量がサムスン電子の約41%、SKハイニックスの約50%に達するとみる。CXMTの増産は、スマートフォンやパソコン、一般サーバー向け汎用DRAM価格の下押し圧力になり得る。
- ドラッケンミラー氏「国債市場に語らせるべきだ」 財務省介入は財政改革を遅らせる
デュケイン・ファミリーオフィス(Duquesne Family Office)のスタンリー・ドラッケンミラー会長は、米財務省による国債買い戻し拡大策を批判し、長期国債利回りは市場に決めさせるべきだと主張した。
ドラッケンミラー氏は最近のウォール・ストリート・ジャーナル寄稿で、足元の国債市場は正常に機能しており、政府が価格に介入しなければならない危機局面ではなかったと指摘した。国債入札は不調に終わっておらず、国債ディーラーが流動性不足で取引を止めたわけでもなく、投資家の強制清算も起きていなかったという。
同氏は、完全雇用に近い状況で米政府が国内総生産(GDP)の約6%に達する財政赤字を抱え、インフレ率も目標を上回っている点を問題視した。それにもかかわらず、政府が経済成長率と近い水準の金利で資金を借りられるのは、金融環境が引き締まっているのではなく、むしろ緩和的であることを意味すると論じた。
ドラッケンミラー氏は、長期国債利回りを人為的に1ベーシスポイント、すなわち0.01ポイントでも押し下げることは、政治が財政問題の解決を先送りするのを助ける行為だと批判した。人為的に低い金利は、政府の想定利払い費を実際より低く見せ、国家債務問題の切迫感を薄めるという主張である。
同氏は1942〜1951年に、米連邦準備制度が第2次世界大戦の資金調達のため長期国債利回りに上限を設けた例も挙げた。戦争終結後も金利上限制が続き、政府の財政赤字拡大と通貨膨張が2桁インフレにつながったと振り返った。
ドラッケンミラー氏は、市場が財務省は特定の金利水準や国債価格を守ると信じ始めれば、その後のあらゆる金利上昇が政府の意思を試す動きになると警告した。これを防ぐには財務省が買い入れ規模をさらに膨らませる必要があり、結局は市場の基礎条件に勝てないと説明した。
拡大された買い戻し日程が米中間選挙の運動期間と重なる点も問題視した。国債管理政策が政治日程に左右されているとの印象を与えるだけでも、200年以上かけて築かれた米国債市場の信認を損なうおそれがあると強調した。
ドラッケンミラー氏は「経済の基礎条件に逆らって価格を守ろうとする政府は、常に敗れる」と述べたうえで、「国債市場に語らせるべきだ」と訴えた。
ニューヨーク=パク・シニョン特派員 nyusos@hankyung.com
Korea Economic Daily
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