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「サムスン電子、IRはこれだけか」 最大110兆ウォン還元でも株価急落

出典
Korea Economic Daily

期間別予測トレンドレポート

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写真:Shutterstock
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サムスン電子が最大110兆ウォン(約12兆6000億円)にのぼる株主還元計画を打ち出したが、株価は9%近く急落した。先に40兆ウォン(約4兆5800億円)規模の自社株買いと消却を決めたSKハイニックスが、発表後に株価を押し上げたのとは対照的だ。金融投資業界では、還元額の大小よりも、自社株買い・消却のように1株当たり価値へ直接影響する還元手法と、その実行時期の違いが両社の株価反応を分けたとみている。

サムスン電子は110兆ウォン、SKハイニックスは40兆ウォン 株価反応は正反対

8月24日、人工知能(AI)ベースの投資情報プラットフォーム「エピックAI」によると、サムスン電子は前営業日比8.70%安の25万7000ウォン(約2万9400円)で通常取引を終えた。直前の取引日だった8月21日に27万ウォン(約3万940円)で引けた株価は、わずか1日で26万ウォン台も割り込んだ。サムスン電子の優先株も8.55%安の18万9300ウォン(約2万1700円)で取引を終えた。

サムスン電子は8月21日の取締役会で、2026年の株主還元原資が90兆〜110兆ウォン(約10兆3000億〜12兆6000億円)に達するとの見通しを示した。このうち定例四半期配当2兆4500億ウォン(約2810億円)と追加の現金配当27兆5500億ウォン(約3兆1600億円)を合わせた約30兆ウォン(約3兆4400億円)は、2026年7〜9月に支払う予定だ。

残る原資は現金配当か自社株買い・消却に充てる計画だ。ただ、追加還元の手法と時期は10月に公表し、正確な規模と執行方法は2027年1月に確定する。全体の原資は示した一方で、株価に直接響きやすい自社株消却の規模はなお決まっていない。

還元総額だけをみれば、サムスン電子はSKハイニックスを大きく上回る。それにもかかわらず、市場の反応は正反対だった。SKハイニックスは8月19日の取引終了後、40兆ウォン(約4兆5800億円)規模の自社株買いと全量消却の計画を公表した。翌8月20日の株価は前営業日比12.73%高の169万1000ウォン(約19万4000円)で引け、8月21日も前日比2.3%上昇の173万ウォン(約19万8000円)で取引を終えた。

こうした差が出たのは、総額よりも株主価値にどこまで即時に反映されるかが問われたためだ。SKハイニックスは40兆ウォンを実際に市場で買い付け、発行株式の3.3%を消却する。今後はフリー・キャッシュフロー(FCF)の還元率も50%以上に引き上げるとしており、追加還元への期待も高めた。これに対しサムスン電子は、110兆ウォンのうち約30兆ウォンの現金配当をまず2026年7〜9月に実施し、残る還元方法は2027年1月に確定する考えだ。

「SKハイニックスの株主還元策は一石二鳥」

トス証券のイ・ヨンゴンリサーチセンター長は、両社の選択が分かれた背景として、公正取引法と金産法(金融産業の構造改善に関する法律)に基づく規制環境の違いを挙げた。SKハイニックスの場合、自社株買いと消却は支配構造の面で極めて有利に働く。公正取引法上、持ち株会社であるSKスクエアは子会社のSKハイニックス株を最低20%以上保有しなければならない。

足元では米国預託証券(ADR)の発行で持ち株比率が20%まで低下している。この局面でSKハイニックスが自社株を買い入れて消却すれば、発行済み株式数が減るため、SKスクエアの持ち株比率は自然に上昇する。一石二鳥の効果を得られる構図だ。

一方、サムスン電子は事情が逆だ。金産法に基づき、サムスン生命やサムスン火災など金融系列会社は、サムスン電子株を合算で10%超保有できない。6月末時点で2社の合算持ち株比率はすでに10.00%に達していた。仮にサムスン電子が大規模な自社株消却に踏み切って総株数が減れば、金融系列会社の持ち株比率は10%を超える。法令違反を避けるにはサムスン電子株を市場で売却せざるを得ず、オーバーハングのジレンマに陥る。

オーナー家の株式保有構造も影響した可能性がある。SKハイニックスは、チェ・テウォン会長が最近の株価急落局面で買い増した3620株を除けば、オーナー家の直接保有比率はほぼない。配当を増やしても、自社株を消却しても、オーナー家のキャッシュフローには影響しにくい。これに対しサムスン電子は、イ・ジェヨン会長(1.67%)を含めオーナー家が株式を直接保有している。このため現金配当を実施すれば、多額の相続税財源などに充て得る資金が直接流入するという構造的な違いがある。

SKハイニックスは8月20日から、1日あたり約65万株ずつ自社株を買い入れている。日平均売買高の約12〜15%の水準だ。8月24日のように外国人と機関投資家の売りが強い日でも、サムスン電子に比べて下落幅が相対的に小さい背景の一つとして、自社株買いによる需給面の支えが指摘されている。

これに対しサムスン電子は、最大110兆ウォン規模の還元策を示したものの、当面は市場で直接的な買い需要を生む効果が限られる。残る60兆〜80兆ウォン(約6兆8800億〜9兆1700億円)の還元手法もまだ決まっていない。イ氏は「短期の株価需給への効果は、市場で毎日株を買い入れて消す自社株買い・消却を選んだSKハイニックスの方が大きい」と分析した。

金融投資業界の一角では、サムスン電子のIRチームによるコミュニケーションのあり方に物足りなさを指摘する声もある。株主還元の規模を示しただけでは十分ではなかったという問題提起だ。

業界関係者は「市場が最も知りたがっている自社株買い・消却の規模や時期を後ろ倒しし、投資家に解釈の余地を残した点は残念だ」と語った。そのうえで「『サムスンはIRをこれだけしかできないのか』と思わせるほどだ」と苦言を呈した。さらに「サムスン電子とSKハイニックスは、もはや韓国市場だけにとどまる企業ではなく、名実ともにグローバル首位企業として位置づけられている。IRもグローバルスタンダードに合わせる必要がある」と強調したうえで、「投資家にできる限り具体的で予見可能な情報を提供し、市場と積極的に対話することが企業価値を高める道だ」と付け加えた。

カン・ギョンジュ 韓経ドットコム記者 qurasoha@hankyung.com

#株主還元
#自社株買い
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