メモリー市況、今回は違う サムスン電子・SKハイニックスに過去最大級の追い風
概要
- AIインフラ投資を背景に、HBM、DRAM、NANDフラッシュの需要が急増し、メモリー半導体の超好況が続く見通しだ。
- サムスン電子とSKハイニックスは、HBMと汎用DRAM、NANDの価格上昇を同時に追い風として受け、好業績が長期化する公算が大きい。
- 世界の投資銀行は、メモリー供給不足とAI需要を追い風に、メモリーのスーパーサイクルが2030年まで続く可能性が大きいとみている。
期間別予測トレンドレポート



人工知能(AI)インフラ投資の熱狂が高帯域幅メモリー(HBM)にとどまらず、汎用DRAMやNANDフラッシュまで押し上げ、世界のメモリー市場がかつてない好況を迎えている。主要な市場調査会社は、2026年の半導体市場の急成長をメモリーが主導するとの見通しを示した。AI向け高付加価値メモリーの需要が急増する一方、汎用品でも供給不足と価格上昇が広がっており、サムスン電子とSKハイニックスの好業績が長く続く公算が大きい。
メモリーが半導体市場の6割 DRAM・NANDが同時拡大
8月10日時点でシグマインテル、カウンターポイントリサーチ、オムディアなどの予測を総合すると、2026年の世界半導体市場はメモリー主導で急拡大する見通しだ。シグマインテルは、世界の半導体売上高が2026年に約1兆5870億ドル(約251兆円)となり、前年より107%増えると予測した。このうちメモリー売上高は約9600億ドル(約152兆円)で、290%急増し、半導体売上高全体の約60%を占めると見込む。
成長をけん引するのはDRAMとNANDフラッシュだ。シグマインテルは、2026年のDRAM売上高が前年に比べ300%以上増え、NANDフラッシュも250%近く伸びるとみる。HBM市場だけでも1000億ドル(約15兆8000億円)を超える見通しだ。
ほかの調査会社の見立ても近い。オムディアは、AI需要が世界の半導体供給能力を上回っているとして、2026年の半導体売上高の増加率見通しを前年比94.1%に引き上げた。メモリー半導体が半導体売上高全体の過半を占めるとも予測した。
カウンターポイントリサーチは、2026年の世界メモリー市場が前年比4倍の1500兆ウォン(約168兆円)に達し、2027年には2100兆ウォン(約235兆円)まで拡大すると予測した。調査会社ごとに市場の範囲や集計方法は異なるが、AIインフラ投資がメモリー市場の成長を圧倒的に主導している点では一致している。
需要先の構成も急速に変わっている。カウンターポイントリサーチによると、メモリー売上高全体に占めるサーバー向け製品の比率は2025年の37%から2026年には56%へ高まる見通しだ。AIデータセンター投資の拡大で、サーバーがメモリー売上高の過半を占める構造に変わりつつある。
HBM増産で汎用DRAMも品薄 NANDにもAI需要波及
メモリー超好況を支える核心は供給制約にある。サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンがHBMの生産能力を積極的に引き上げた結果、DDR向けウエハー供給は2桁減った。AIサーバー向けDDR需要も増えており、シグマインテルはDDR全製品群の需給が例を見ないほど逼迫していると分析した。
HBMは一般的なDRAMより製造工程が複雑だ。大規模な生産能力を持つ企業もサムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社にほぼ限られる。エヌビディア、AMD、インテル、グーグルなどのAIアクセラレーターにHBMが大量搭載されるなか、供給拡大の速度が需要増に追いついていないというのが市場の共通認識だ。
HBMの増産が、逆に汎用DRAMの供給不足と価格上昇を促す構図も鮮明になっている。シグマインテルは、2026年7〜9月期のDDR平均販売価格(ASP)が2025年7〜9月期の4〜5倍の水準に達すると予想した。
一部製品では異例の価格逆転も起きている。カウンターポイントリサーチによると、サーバー向け需要の急増と高付加価値製品中心の生産拡大、供給制約が重なり、一部の汎用DRAMではギガビット(Gbit)当たり価格がHBMを上回った。製造工程がより複雑で原価も高いHBMより、汎用品の単価が高くなる現象が起きている。
AI発のメモリー特需はNANDフラッシュにも広がっている。大規模AIサーバーでデータを保存する企業向けソリッドステートドライブ(eSSD)の需要が急増しており、AIサーバー向けeSSD需要が民生機器向けNAND需要を上回るとの予測も出ている。
供給のボトルネックは短期間では解消しにくい。オムディアは、HBMだけでなく先端パッケージングや先端工程でも供給不足が起きていると分析した。台湾TSMCの先端パッケージング生産ラインは高稼働が続く。関連装置の納期が長いことも、迅速な増設を難しくする要因に挙がった。
オムディアは、HBM、先端パッケージング、先端工程全般のボトルネックが少なくとも2027年まで続くと予測した。カウンターポイントリサーチも、メモリー市場の上昇基調が2027年前半まで続くとみる。一方、新規設備の増設が本格化する2027年後半以降は、供給増に伴う価格調整の可能性もあるとしている。
サムスン電子・SKハイニックスに追い風重なる 今回の循環はより長い
HBMから汎用DRAM、NANDフラッシュまで手がけるサムスン電子とSKハイニックスには、良好な市場環境が続いている。高収益のHBMの恩恵を受けるだけでなく、供給不足を背景とする汎用DRAMとNANDの価格上昇も業績を押し上げるためだ。
サムスン電子は2026年4〜6月期、世界DRAM市場で売上高ベースのシェア39%で首位だった。汎用DRAMの値上がりとHBMシェア拡大が同時に業績を押し上げた。SKハイニックスも同期間のDRAM売上高が前年同期比214%増えた。
変数となるのは中国勢の追い上げだ。カウンターポイントリサーチによると、中国のCXMTの2026年4〜6月期DRAM売上高は前年同期比716%増えた。台湾のナンヤも同期間に売上高が690%増加した。とりわけCXMTは、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンがHBMや高付加価値品に生産能力を集中する間に、汎用DRAM市場で急速に規模を拡大している。ただ、中国メーカーの増産だけで世界的なメモリー供給不足を短期で解消するのは難しいとの見方が強い。
米投資銀行ゴールドマン・サックスも、今回のメモリー循環は過去より強く、長く続く可能性が大きいとした。AIコンピューティング需要の拡大ペースがメモリー供給増を上回るうえ、長期供給契約の拡大など産業構造も過去の循環とは異なるためだ。メモリー供給不足は2030年まで続くと見通した。
ゴールドマン・サックスのティモシー・モー アジア太平洋ストラテジストは「市場ではメモリー景気やハイパースケーラーの設備投資(CAPEX)、資本市場での資金調達、競争激化などを懸念しているが、こうした変数は長期好況シナリオを損なうほどではない」と語った。
ホン・ミンソン 韓経ドットコム(Hankyung.com)記者 mshong@hankyung.com
Korea Economic Daily
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