概要
- コインベース・インスティテュートは、ステーブルコインの成長が米国の地域銀行の競争力を高める機会になり得るとした。
- リポートは、ステーブルコインの拡大と米国の地域銀行預金流出の間に有意な相関関係はないと伝えた。
- コインベース・インスティテュートは、パブリックブロックチェーン基盤のステーブルコインネットワークが、決済・海外送金・トークン化証券決済で地域銀行の最大の受益につながる可能性があると指摘した。
期間別予測トレンドレポート



ステーブルコイン市場の拡大は、従来の懸念とは逆に、米地域銀行の競争力を高める機会になり得る。米暗号資産交換業大手コインベース傘下のコインベース・インスティテュート(Coinbase Institute)が7月15日公表したリポートで示した。
同研究所はリポート「地域銀行とステーブルコイン:恐れるものはなく、得るものは多い」で、ステーブルコインが地域銀行の預金基盤を侵食するとの懸念には根拠が乏しいと指摘した。
ステーブルコインの成長と地域銀行の預金流出の間には、統計的に有意な相関関係は確認されていないという。サークル(Circle)のUSDCの時価総額が約750億ドル増加する間、米地域銀行の預金も増えた。コインベースが4年以上にわたりサークルに報酬を提供してきたものの、銀行預金の減少傾向は観察されなかったとしている。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の2024年の研究も引用した。米銀預金の70〜80%は金利変動に鈍感で、2022年にマネー・マーケット・ファンド(MMF)金利が約5%まで上昇した際も、大規模な預金移動は起きなかったと説明した。

コインベース側は、米地域銀行がステーブルコイン産業の成長による最大の受益者になる可能性があると結論づけた。過去には決済システムや海外送金ネットワーク、資金管理インフラの構築に巨額の費用がかかり、JPモルガンなどのグローバルなシステム上重要な銀行(GSIB)が規模の経済を享受してきた。一方、パブリックブロックチェーン基盤のステーブルコインネットワークは、こうした参入障壁を大きく引き下げていると分析した。
地域銀行はステーブルコインを活用すれば、24時間の即時決済や低コストの海外送金、トークン化証券の決済などを大手銀行に近い水準で提供できるという。こうしたサービスのために独自システムを構築する必要がない点も、ステーブルコインの利点に挙げた。
同研究所は、ステーブルコインは伝統的な銀行の役割を代替するのではなく、強化し得るとみる。大手銀行が独占してきた決済機能や資金管理機能が共有インフラへ移る過程で、地域銀行が最も大きな恩恵を受ける可能性が高いとした。