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メモリー発の物価ショック始まる アップルが最大29%値上げ、「第3のインフレ」懸念

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Korea Economic Daily

期間別予測トレンドレポート

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アップルが一斉値上げ、「第3のインフレ」到来か

チップフレーション現実化

写真:Shutterstock
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半導体価格の上昇が電子機器を中心に消費財全般を押し上げる「チップフレーション(chip+inflation)」が現実のものとなりつつある。半導体高を理由にアップル(Apple)が主力製品の値上げを決め、電気料金や人件費も上昇している。

アップルは6月25日、主要製品の価格引き上げを発表した。MacBook Proは17.7%高い1999ドル、MacBook Airは18.2%高い1299ドルで販売する。より低価格帯のiPadは値上げ幅がさらに大きい。iPad Airは25.0%、iPad Proは20.0%、低価格モデルのiPadは28.7%上がる。

アップルは値上げの理由について、人工知能(AI)データセンターの急拡大でメモリー半導体とストレージ需要が異常な勢いで増え、部品価格が急騰したためだと説明した。これほど急激で大幅な部品価格の上昇は過去になかったとした。

AIデータセンター発の半導体需要は大きく伸びている。市場調査会社ファクトセット(FactSet)によると、アルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフト(Microsoft)、オラクルの5大ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の2026年の設備投資は7410億ドルに達する見通しだ。大半がデータセンターなどAIインフラに投じられる予定で、前年より75%増える。

この動きは、メモリー半導体や電線、冷却装置の価格だけでなく、関連する人件費まで押し上げている。市場調査会社トレンドフォース(TrendForce)によると、DRAM価格は2025年に172%上昇し、2026年1〜3月期だけでさらに90%超跳ね上がった。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、半導体発の「第3のインフレ」が迫っていると分析した。新型コロナウイルス禍に伴う供給網危機、ロシア・ウクライナ戦争を受けたエネルギー価格急騰に続く波だ。6月26日のアジア市場では、製品価格の上昇による需要鈍化への警戒から、サムスン電子、SKハイニックス、日本のキオクシアなどメモリー半導体各社の株価が急落した。

AIインフラ投資競争が導火線、DRAM価格は3カ月で2倍に急騰

電気料金・技術者賃金も押し上げ、「チップフレーションは最低2年続く」

アップル製品の価格動向は、世界の物価の流れを読む重要な指標とされる。長期供給契約や大口の先行発注、設計の最適化を通じて、コスト上昇の衝撃を吸収する力が最も強い企業だからだ。そのため、アップルの値上げはインフレ本格化を意味する。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は最近、「40年以上電子業界に身を置いてきたが、今のような『チップフレーション』は初めてだ。100年に1度の洪水のようだ」と語った。

AI発のインフレ

アップルは長く持ちこたえた方だ。サムスン電子は2025年まで据え置いていたスマートフォン価格を2026年初めに最大20%引き上げた。任天堂、ソニー、マイクロソフトはゲーム機を値上げした。デル、HP、レノボなどPCメーカーも2025年から15〜20%の値上げを通知している。

今回のインフレは、出発点が「消費」ではなく「投資」にある点で異例だ。競争相手より先にAIインフラを整備しようとする巨大テック企業の設備投資競争が火元だからだ。米コロンビア大経営大学院のステイン・ファン・ニューウェルバーグ教授は、AIデータセンターには高度な計算設備、冷却システム、電力・光ファイバーケーブル、停電を防ぐ予備発電機が必要だと指摘した。2032年までのAIインフラ構築支出は8兆ドルに達しうるとの見通しも示した。

これは、コロナ禍直後に表面化したインフレが、港湾閉鎖や物流の停滞、工場稼働停止など供給網のまひを起点としていたのとは異なる。ロシア・ウクライナ戦争後の物価ショックも、原油や天然ガス、穀物、肥料などエネルギー・原材料価格の急騰に端を発していた。

消費者物価にも波及

メモリー価格上昇の影響は最終消費財に及び始めている。AIアクセラレーターには高帯域幅メモリー(HBM)が欠かせない。メモリーメーカーがHBMやデータセンター向け高付加価値製品を優先して生産すれば、スマートフォンや自動車、家電に使う汎用DRAMやNANDフラッシュの供給は相対的に減る。

半導体価格は急騰している。トレンドフォースによると、DRAM価格は2026年1〜3月期に最大98%上昇し、4〜6月期にも58〜63%追加で上がる見込みだ。スマートフォン向けDRAMとNANDフラッシュの価格も、この3カ月で80%超上昇した。市場調査会社シグマインテルによると、2026年4〜6月期のスマートフォン向け「LPDDR 5X 12GB」の価格は、1〜3月期の77.1ドルから145.9ドルに上がったと推定される。同じ時期にスマートフォン向けストレージ「UFS 256GB」の価格も31ドルから62.7ドルへと2倍超に上昇した。

米国では消費者物価に目に見える影響が出始めた。米労働省が最近発表した5月のコンピューターソフトウエア・周辺機器の消費者物価は前年同月比14.5%上昇した。卸売りベースでは、同期間の電子部品価格が27%上がった。

人件費も押し上げられている。データセンター建設需要を背景に、電気・配線工事の技術者の平均時給は、米国で4月時点に前年同月比6.5%上昇した。民間全体の賃金上昇率3.6%のほぼ2倍だ。データセンター需要で電気料金も上がり、住宅向け電気料金は5.9%上昇した。

「チップフレーションは始まったばかり」

全米企業エコノミスト協会(NABE)の調査では、回答者の81%がAIインフラ構築が今後2年間、物価を押し上げると答えた。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、データセンター稼働により、2026年と2027年の消費者向け電気料金がそれぞれ約6%上がると予想している。

チップフレーションは始まったばかりだとの分析もある。米連邦準備理事会(FRB)のリサ・クック理事は5月、スタンフォード大での講演で、AI投資ブームが新たな物価圧力として作用していると指摘した。企業が公表したデータセンター計画はすでに1兆5000億ドルを超えるが、実際に具体化したのはその一部にとどまると付け加えた。今後数年にわたり8兆ドルに及ぶ投資が順次実行されれば、資源需要と価格圧力は一段と強まる公算が大きい。

キム・ジュワン/キム・チェヨン/イ・ヘイン記者 kjwan@hankyung.com

#AIインフラ
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