大規模清算でアルトコイン変動拡大、AAVEは強気見通しで15%高
概要
- 暗号資産市場は、ビットコインの約10%下落と約10億ドルの清算で短期的な変動性が拡大した。
- エイヴ(AAVE)は、スタンダードチャータードが2030年末の3500ドル目標を示したことを受け、24時間で約15%上昇した。
- 市場では、ビットコイン5万8000ドルの下に積み上がるレバレッジロングポジションと、PCE物価の発表を前に、変動性拡大の可能性が警戒されている。
期間別予測トレンドレポート



暗号資産市場は大規模な清算の余波で揺れた。ビットコインが6月上旬以来の安値水準まで下落し、イーサリアムやソラナなど主要アルトコインもそろって軟調に推移した。もっとも、AI半導体株の反発と一部分散型金融(DeFi)銘柄の個別材料が重なり、下げ幅は一部で限られた。
6月25日に暗号資産専門メディアのコインデスクが報じたところによると、ビットコインは前夜に5万9175ドルまで下落した後、6万1500ドル前後まで持ち直した。週初めに6万5500ドル近辺で高値を付けて以降、下落率は約10%に達した。
今回の調整局面では、暗号資産先物市場で約10億ドルのポジションが清算された。ビットコイン先物では、上昇を見込んだロングポジション約4億3000万ドルが強制清算された。
相場下落を引き起こした単一の材料は明確ではない。米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢、6週連続の現物上場投資信託(ETF)からの資金流出、夏場の流動性低下、6月30日に控える四半期末のオプション満期が重荷となった。
アルトコイン市場もビットコイン安の影響を免れなかった。イーサリアムやソラナなど主力銘柄が下落し、レバレッジポジションの清算も重なって短期的な変動が大きくなった。マーケットメーク会社ウィンターミュート(Wintermute)はこれに先立ち、5万9000ドルを弱気相場の底を見極める重要な価格帯として示していた。
一方、AI半導体株の反発は暗号資産市場の下げ渋りにつながった。マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)が市場予想を上回る業績を発表し、AIサーバー向けメモリー需要の鈍化懸念が和らいだ。SKハイニックスの米株式市場上場推進に関する報道も、半導体株への投資心理を支えた。足元の暗号資産市場はAI関連株の値動きと連動する場面が多く、半導体株の反発がビットコインや主要アルトコインの戻りにも波及した。
個別銘柄ではエイヴ(AAVE)が際立って上昇した。スタンダードチャータード(Standard Chartered)が2030年末の目標価格を3500ドルに設定したと伝わり、AAVEは24時間で約15%上昇し、80ドル近辺で取引された。
スタンダードチャータードのジェフ・ケンドリック・デジタル資産リサーチ世界責任者は、AAVEが分散型融資市場で支配的地位を回復できると分析した。DeFi市場全体の資産は2030年までに約37倍に拡大する可能性があるとみており、AAVE価格については今年末に180ドル、その後は600ドル、1200ドル、2200ドルへと段階的に上昇するとの見通しを示した。
もっとも、長期目標の達成には不確実性も残る。4月にケルプダオ(KelpDAO)で発生した約2億9100万ドルのハッキングの余波がエイヴの流動性にも影響し、預かり資産は440億ドルから230億ドル水準に減少した。エイヴのDeFi融資市場でのシェアも平均59%から38%まで低下したという。
市場では、四半期末にかけて変動が一段と大きくなる可能性を警戒する雰囲気が強い。コイングラスによると、ビットコインの5万8000ドル割れの水準には約16億ドルのレバレッジロングポジションが集中している。この価格帯を下回れば、追加清算の圧力が強まる公算が大きい。投資家は、FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)物価の発表を注視している。