概要
- 米国がイラン産 原油 への制裁をMOU署名と同時に事実上解除し、中長期的に国際 原油供給 が増える見通しだと伝えた。
- イラン産 原油 の正常取引再開への期待を背景に、ブレント と WTI の先物価格はそれぞれ5.1%%、5.8%%下落し、国際原油価格 は3カ月余りぶりの安値を付けたと伝えた。
- ゴールドマン・サックスは、イラン産 原油供給 の拡大と海峡通航の正常化見通しを織り込み、ブレント原油見通し を2026年10〜12月期は90ドルから80ドルに、2027年は80ドルから75ドルに引き下げたと伝えた。
期間別予測トレンドレポート


イラン産原油が市場復帰へ、原油価格は急落
米、6月19日の終戦署名と同時に制裁免除
ブレントは70ドル台に下落

6月19日に予定される「60日休戦了解覚書(MOU)」の署名にあわせ、米国はイラン産原油に対する制裁を直ちに免除する方針だ。中長期的に国際原油の供給が増えるとの見方から、原油価格は急落した。
ブルームバーグ通信などが6月16日に報じた。米国は正式署名と同時に、イラン産原油への制裁を実質的に解除すると約束した。その後は、60日間の休戦期間中に決まる最終合意の日程に沿って、イランに対するすべての経済制裁を終了する予定だ。原油輸出に必要な金融、保険、輸送サービスに関する制裁も、この期間にすべて免除される見通しである。米国など西側諸国は2012年から、イランの原油輸出に強い制裁を科してきた。
これに先立ち、トランプ政権の関係者は、イランが濃縮ウランの希釈・廃棄など核計画を巡る約束を履行した場合、段階的に制裁を緩和すると説明していた。だが、公表されたMOU草案は「先に制裁を解き、後で履行を求める」内容になっている。イランは濃縮ウランの廃棄などの約束を果たす前に、世界の原油市場へ復帰できることになる。
この報道を受け、国際原油相場は6月16日に下落基調を強め、3カ月余りぶりの安値を付けた。ICE先物取引所でブレント原油8月物の終値は1バレル78.96ドルと、前日比5.1%下落した。ニューヨーク商業取引所では、米国産標準油種WTI7月物の終値が1バレル76.05ドルと、前日比5.8%下げた。
埋蔵量世界3位の原油が市場流入へ 海峡通航と重なり一段安期待
60日間の交渉期間後に経済制裁終了 銀行・輸送・保険も対象
トランプ米政権がイランと6月14日に電子署名を終えた「60日休戦了解覚書(MOU)」の草案に、イランに対する大規模な経済的誘因が盛り込まれていることが分かった。かつてイランの文明を抹消すると威嚇していたトランプ政権が、姿勢を一変させて融和策のパッケージを示した格好だ。
制裁は直ちに解除へ
ブルームバーグ通信が6月16日に公表した14条項によると、米国は60日間の交渉期間後、最終合意の日程に従ってイランに対するすべての経済制裁を終了すると約束した。これまでトランプ政権の関係者は、イランが濃縮ウランの希釈・廃棄など核計画に関する約束を履行する見返りとして、制裁を緩和すると説明してきた。

しかしMOU草案によると、米国は署名と同時にイラン産原油の輸出に関する制裁を事実上解除する。文書には「MOU署名直後から制裁解除日まで、米財務省はイラン産原油と石油化学製品、その派生商品、銀行・保険・輸送など関連するすべてのサービスに対する制裁免除を発給すると約束する」と明記した。この文言通りなら、イランは濃縮ウラン廃棄などの約束を守る前に、世界の原油市場へ先に復帰することになる。
米国など西側諸国は、1979年のイスラム革命以降、イランに各種制裁を科してきた。なかでもイラン産原油の輸出制裁が本格化したのは2012年からだ。以後、イラン産原油は制裁逃れのため、第三国で原産地を違法に変更するなどの措置を経てようやく輸出できる「二級品」に転落した。主に東南アジアを経由して中国やインドなどに輸出され、価格も安く設定された。
その後、2016年にバラク・オバマ政権下でイラン核合意(JCPOA)が成立し、制裁は一時解除された。この間、韓国などもイラン原油を相当量輸入したが、2018年に再び制裁が課された。
復興基金の創設とも連動
6月19日からイラン産原油が国際市場で正常に取引できるようになれば、世界の原油需給に相当な影響を与える見通しだ。ホルムズ海峡の正常化にはなお時間がかかると予想されるなか、イラン産原油への制裁が解かれれば、原油価格はさらに速いペースで下落する可能性が高い。
海峡の通航が想定より早く正常化するとの観測もある。CNBCによると、ゴールドマン・サックスはこの地域の原油輸出が予想以上に早く正常化するとみて、ブレント原油の見通しを2026年10〜12月期は1バレル90ドルから80ドルに、2027年は80ドルから75ドルに引き下げた。
さらに、復興基金を通じた大規模投資が実行されれば、イラン産原油の生産量は長期的に大きく増える可能性がある。イランの年間原油生産量は208億バレルと推計される。開戦前の生産量は日量約450万バレルで、世界6位だった。国内消費を差し引いた輸出量は、昨年末時点で166万バレルだった。
復興基金の組成にあたり、米国は韓国、日本、欧州など同盟国の民間企業から投資を受け入れる考えだ。これは、60日間の休戦期間が過ぎた後も、米国がイランへの経済制裁を再び試みづらくする要因になる。その分、イランが核物質の廃棄などに消極的でも、制御する有効な手段を持ちにくい弱みもある。
米議会で合意内容を正式に審議すべきだとの超党派の声が強まっていることも変数だ。米オンラインメディアのセマフォーによると、ビル・キャシディ上院議員(共和・ルイジアナ州)は、米・イラン核合意は上院で3分の2の賛成を得て批准されるべきだと述べた。
ワシントン=イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com

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