米USTR代表とワシントン・ポスト、強制労働関税巡り応酬
概要
- 米政府は、韓国を含む60カ国が強制労働で生産された物品の流通を積極的に防いでいないとして、10%%から12.5%%の関税を課した。
- 今回の関税は、中国のように強制労働を明白に行う国とそうでない国を一括りにして広く適用しており、動機が外国人労働者の搾取根絶だけにあるわけではないとの批判が出ている。
- 非営利団体ワークフリーによると、G20は毎年4680億ドル規模の強制労働関連製品を輸入し、そのうち米国の輸入額は1696億ドルに上る。
期間別予測トレンドレポート


米政府が先月、韓国を含む60カ国に対し、強制労働で生産された物品の流通を十分に阻止していないとして、10%〜12.5%の関税を課したのは記憶に新しい。
この措置の正当性を巡り、米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表と米紙ワシントン・ポストが応酬を繰り広げている。
発端は6月3日にワシントン・ポストが掲載した社説だった。社説は「強制労働は現代版の奴隷制の一種であり、忌まわしい慣行だ」と指摘した。米国は憲法修正13条や連邦法第18編でこれを禁じており、強制労働で生産された物品の輸入を禁じる法律もほぼ1世紀前から維持してきたと説明した。
代表例として挙げたのがウイグル強制労働防止法だ。2021年に制定された同法は、中国・新疆地域のイスラム系少数民族に対する中国の虐待を認定し、同地域で生産された製品の米国への持ち込みを禁じた。
そのうえで社説は、中国のように強制労働を明白に行っている国と、そうでない国を一括りにして広範に適用した点を問題視した。今回の関税の動機が、外国人労働者の搾取根絶だけにあるわけではないことを示していると論じた。2025年4月に関税に代わる手段を探すなかで、この論理が持ち出されたという。
これに対しグリア代表は反論した。グリア代表は6月11日にワシントン・ポストへ送った書簡で、「現代版の奴隷制に対する自由放任主義的なアプローチを擁護するのはワシントン・ポストくらいだ」と批判した。ワシントン・ポストの反対論は、結局のところ大統領への反感に端を発しているとも主張した。
さらに、トランプ大統領は第1次政権の時点から強制労働の問題に関心を持ち、是正に取り組んできたと強調した。第1次政権では、メキシコとカナダに強制労働で生産された物品の輸入禁止措置を導入させることに成功したことを例に挙げた。相互貿易協定にもこの内容を盛り込むよう求め、9カ国が加わったことも明らかにした。
グリア代表は「米企業と労働者は、米国のサプライチェーンから強制労働を排除するため、巨額のコンプライアンス費用を負担している。一方で世界の他国はそうしていない」と批判した。
ただ、グリア代表がトランプ大統領を擁護しても、今回の強制労働関連関税の狙いが比較的はっきりしていることは、ワシントンでもおおむね共有されている。トランプ大統領自身、新たな代替関税を探す考えを繰り返し示してきた。結局は、その大義名分がどこまで妥当かが問われているが、この論点の影響力は過去に比べて薄れつつあるようだ。

強制労働が世界的な問題であり、その恩恵を先進国が安価な商品という形で受けているのは事実だ。非営利団体ワークフリーの2023年資料によると、主要20カ国・地域(G20)は毎年4680億ドル規模の関連製品を輸入している。注目されるのは、そのうち1696億ドルを米国が輸入している点だ。ワークフリーは、主な品目として電子製品、衣類、パーム油、太陽光パネル、繊維などを挙げた。
強制労働に関わる人口を国別にみると、G20の国々も少なくない。例えば、インドが1100万人、中国が580万人、ロシアが190万人、インドネシアが180万人、トルコが130万人、米国が110万人である。G20ではないが、北朝鮮は260万人、パキスタンは230万人とされる。とりわけ北朝鮮は、強制労働が「最もまん延している」国に挙げられている。

110万人という数字だけをみれば相対的に少ないともいえるが、強制労働や人身売買の問題で米国が完全に無縁だとは言いがたい。米労働省も、米国内で人身売買と強制労働が起きていることを認めている。マークウェイン・マリン労働長官は同省のホームページで、「多くの人は強制労働を国際的な問題としてのみ捉えているが、実際には私たちが考えるより身近な場所で発生している」と説明した。「憲法が保障する自由の土台があるにもかかわらず、強制労働は今日の米国にも存在し、続いている」とも記した。
そのうえで、全米人身売買ホットラインの資料を引用し、労働分野の人身売買の約半分が小売業やハウスキーピングなどで発生していると紹介した。家事労働が20%、レストランが9%、建設分野が8%を占めるとも伝えた。
ワシントン=イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com

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