イーサリアムETFの資金流出加速、ナンセン「上昇の原動力はすべて消えた」
概要
- イーサリアム(ETH)は2000ドル台割れの危機に直面しており、現物ETFの資金流出とネットワーク活動の鈍化が重なって、上昇の原動力を失ったと伝えた。
- ナンセンは、ガス代の低下とバーンの減少でデフレ効果が弱まり、ETHがインフレ資産に近づくにつれて、前回の上昇相場を支えた中核的な物語が弱まったと評価した。
- 米国の現物イーサリアムETFの月間純流出額は5億2200万ドル、ETH/BTC比率は0.027まで低下し、実現時価総額は2950億ドルに減少した。意味のある反発にはETFへの資金流入とネットワーク活動の回復が必要だと分析した。
期間別予測トレンドレポート



イーサリアム(ETH)が2000ドル割れの瀬戸際にある。現物上場投資信託(ETF)からの資金流出とネットワーク活動の鈍化が重なり、相場を押し上げてきた材料は失われつつある。
AMBクリプトは5月29日、オンチェーン分析会社ナンセン(Nansen)のリポートをもとに、イーサリアムの軟調さは単なるマクロ経済の不確実性ではなく、構造的な需要低迷に起因すると伝えた。ETHはこの日の取引時間中に2000ドルを下回り、3月以来初めて同水準を割り込んだ。足元の価格は4月に付けた約2500ドルの高値から19%下落している。
ナンセンはまず、ネットワーク需要の減少を問題点に挙げた。イーサリアムの平均ガス代は現在2Gweiを下回り、今回のサイクルで最も低い水準に近づいている。利用者の取引やスマートコントラクトの実行が減ったことで、ETHのバーン(焼却)量も縮小した。かつてイーサリアム投資の中核だったデフレ効果も大きく弱まったという。
レイヤー2(L2)の拡大も重荷になっている。これまでメインネットで発生していた取引や手数料収入の相当部分がL2に移り、イーサリアムのメインネットが持つ経済的価値は従来より薄れたとナンセンは分析した。ナンセンのニコライ・ソンダーガード研究員は「バーン量の低下で、ETHは再びインフレ資産に近づいている」と述べた。そのうえで、前回の上昇相場で投資家の確信を支えた中核的な物語が弱まったと指摘した。
機関投資家の資金フローも振るわない。ETH/BTC比率は足元で0.027まで低下し、過去1年で最低水準を付けた。米国の現物イーサリアムETFでは5月11日以降、純流出が続いている。月間の純流出額は5億2200万ドルに達し、2025年12月以来の大きさとなった。
ソンダーガード氏は「2026年を通じて続いている流れは、機関投資家の関心がビットコインに集中していることを示している」と語った。イーサリアムはなお、ビットコインほどの存在感を示せていないとも付け加えた。
一方で、大口投資家は足元の下落局面でも買いを続けている。サンティメントによると、10万ETH超を保有するウォレットは現在、全供給量の約22%に当たる1740万ETHを持つ。直近10週間で最も高い水準である。
もっとも、こうした買いにもかかわらず、全体の資金フローはなおマイナスだ。グラスノードによると、イーサリアムの実現時価総額は年初の3100億ドルから2950億ドルに減少した。市場から約150億ドルの資金が流出した計算になる。
ナンセンは、イーサリアムが意味のある反発に転じるには、現物ETFへの資金流入再開とネットワーク活動の回復が欠かせないとみる。ソンダーガード氏は「現在のイーサリアムには、過去の上昇相場をけん引した主要な触媒が一つもない」と強調した。反発には少なくとも二つ以上の好材料が同時に必要になるとみている。