ステーブルコイン時価総額3220億ドル、95カ国の外貨準備上回る
概要
- ステーブルコイン時価総額3220億ドルは、95カ国の外貨準備を上回る水準だと伝えた。
- 市場の大半はテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)などドル連動型のステーブルコインに集中しており、DeFiや国境をまたぐ送金で決済・清算手段として活用されているとした。
- BISは、ステーブルコインの資金フロー拡大が新興国の通貨価値の下落や資本規制の迂回などのリスクと結び付き、各国の通貨・資本規制の枠組みにおける新たな変数として浮上していると指摘した。
期間別予測トレンドレポート



ステーブルコイン市場の規模が過去最大を更新し、世界95カ国の外貨準備を上回ったことが分かった。ブロックチェーン基盤のドル建て資産が、既存の金融システムの外で急速に広がっている。
5月26日に暗号資産専門メディアのコインデスクが伝えたところによると、ステーブルコイン全体の時価総額は3220億ドルとなった。英国、カナダ、アラブ首長国連邦(UAE)のほか、ポーランド、タイ、メキシコなど95カ国の外貨準備を上回る規模だ。
外貨準備は、中央銀行が通貨の安定や対外債務の返済、エネルギー・輸入決済に備えて保有するドル、ユーロ、円、金などの対外支払い準備資産を指す。ステーブルコイン全体の時価総額を上回る外貨準備を持つ国は、中国、日本、ロシア、インド、台湾、ドイツなど14カ国にとどまる。
ステーブルコインは、ドルやユーロ、円など法定通貨の価値に連動するよう設計されたトークンだ。市場の大半はテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)などドル連動型に集中している。暗号資産取引では、価格変動の大きいトークンを法定通貨に換えず待機資金に移す手段として使われる。分散型金融(DeFi)では決済・清算資産の役割を担い、国境をまたぐ送金では既存の銀行網より速く低コストの決済手段として活用されている。
一方で、ステーブルコインの普及は新興国の金融安定に重荷となる可能性がある。国際決済銀行(BIS)は最近の報告書で、ステーブルコインを使った国境をまたぐ決済が、従来のコルレス銀行網の処理が遅い地域やコストが高い地域で増えていると分析した。特に高インフレと為替変動の大きい地域で、この動きが目立つと説明した。
BISは、ステーブルコインの資金フロー拡大が、その後の自国通貨安や金利平価のゆがみ、公定相場とステーブルコインの内在為替レートの乖離拡大と関連していると指摘した。ステーブルコインが資本規制を迂回し、新興国の居住者が貯蓄をドル建て資産へ移す手段になり得ることを示唆している。
市場では、ステーブルコインがデジタル決済インフラとして定着する一方、各国の通貨・資本規制の新たな変数として浮上している。とりわけドル建てステーブルコインの拡大は、ブロックチェーン生態系内の流動性の問題を超え、各国の外貨防衛力や資本移動の管理にも影響を及ぼす構造変化とみられる。


