ZKsync財団代表「機関金融にはパブリック・プライベート両チェーンに限界、プライバシーと接続性を備えた基盤必要」
概要
- マルコ・コーラ代表は、機関金融のオンチェーン拡大には プライバシー と 相互運用性 を同時に満たすインフラが必要だと強調した。
- ZKsyncは、ゼロ知識証明ベースの Previdium 構造を通じて プライバシー と 規制順守 を同時に実現し、イーサリアムなどと相互作用できるインフラを提示したと説明した。
- 米国の Cari プロジェクト、中東の ADIチェーン、エクソラのオンチェーン決済事例を通じて、トークン化預金、ステーブルコイン、リアルタイム決済 のインフラが拡大していると伝えた。
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「パブリックチェーンには透明性の問題があり、プライベートチェーンには分断の問題がある。機関金融がオンチェーンに広がるには、プライバシーと相互運用性を同時に満たす新たなインフラが必要だ」
ZKsync財団のマルコ・コーラ代表は5月15日、ソウル・汝矣島のFKIタワーで開かれた「OFF 2026(On-chain Finance Forum 2026)」でこう強調した。
コーラ氏は、ステーブルコインとトークン化資産市場の成長を受け、オンチェーン金融インフラへの需要が急速に拡大していると分析した。JPモルガンやペイパルなどの主要金融機関が独自のデジタル通貨を発行し、企業もプログラマブルマネーの導入を広げているとしたうえで、「高速で安価に、グローバルに移転できるデジタル資産への需要は明確に存在する」と語った。
一方、現行のインフラ構造には機関導入を阻む限界があると指摘した。パブリックブロックチェーンでは、透明性の高さゆえに企業の取引情報が外部に露出し得るうえ、無許可型の構造が規制環境への適合を難しくするという。
これに対し、プライベートチェーンは完全な統制と安全性を確保できる半面、ネットワーク間の接続が難しく、拡張性が限られると説明した。「ハイパーレジャー基盤のプライベートチェーンは数多く構築されたが、実際の運用事例は限られていた。ネットワークの分断は金融インフラとして致命的な問題だ」と述べた。
ZKsyncは、こうした課題への対応策として「Previdium(プレビディウム)」構造を提示した。ゼロ知識証明(ZKP)を活用し、プライバシーを保ちながらネットワーク間の信頼を確保する仕組みだ。
コーラ氏は「データそのものは外部に開示せず、ルールが順守されたことを示す『証明』だけを共有する構造だ」と説明した。これにより、プライバシーと規制順守を同時に実現できるとした。
この構造では、各機関が独立してシステムを運営しながら、イーサリアムのような中立的レイヤーに証明を記録し、他の機関と相互作用できる。仲介機関を置かずにデータの信頼性を確保できる点が柱になる。
実際の導入事例にも言及した。米国では「Cari」プロジェクトを通じ、銀行間のトークン化預金インフラが構築されている。初期参加銀行の総資産は約7000億ドルで、今後50〜60行に広がれば総資産は7兆ドルを超える見通しだ。
中東では、アブダビ拠点の「ADIチェーン」を通じてディルハム建てステーブルコインのインフラが構築されており、グローバル決済や資産運用分野に広がっている。Xsolla(エクソラ)も、オンチェーン決済の導入によって決済処理時間を数日から数秒に短縮する仕組みの構築を進めている。
コーラ氏は「既存の金融システムは決済の遅延と高コスト構造を抱えている」と指摘した。そのうえで「オンチェーンインフラはこれをリアルタイム決済の構造に転換し、コスト削減と効率化を同時に実現できる」と語った。
さらに「重要なのは単なるブロックチェーン導入ではない。機関が求めるプライバシー、規制、相互運用性をすべて満たすインフラ設計だ」と強調した。こうした構造が今後の金融システムの標準になるとの考えを示した。


