トランプ氏、北京で大詰め交渉 イラン巡り対中譲歩も【ワシントンNow】
概要
- トランプ大統領が北京で貿易と市場開放を核心議題に、米中間の戦略的大型合意の可能性を探っていると伝えた。
- マスク氏やジェンスン・フアン氏ら米企業のCEOが同行し、自動運転車、AI半導体、米国製品の輸出、金融会社の中国進出拡大が議論されるとした。
- イラン戦争を巡る中国の協力を得る代わりに、米国産農産物の購入、半導体輸出規制の緩和、台湾向け武器売却などで米国が譲歩する可能性があると伝えた。
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ドナルド・トランプ米大統領は5月13日夜(現地時間)、北京に到着した。5月14日午前11時(北京時間同10時)に首脳会談に臨む予定だ。米中が戦略的な大型合意を探る可能性が取り沙汰されているものの、足元の情勢を踏まえると、トランプ大統領が求めるものをすべて手にするのは容易ではない。
トランプ大統領が今回の会談で掲げる核心議題は2つある。第1は貿易だ。本人もこれを最優先だと位置づけている。米国は昨年の関税戦争以降、中国との貿易不均衡の是正を主目標に据えてきたが、目立った成果はなお乏しい。トランプ大統領は、昨年の関税戦争の果実を今こそ刈り取る局面だと考えている可能性が高い。このため、今回の会談では両国が参加する通商委員会の設置などを協議し、発表する可能性がある。
同行した企業経営者の顔ぶれをみると、トランプ大統領がどの分野で成果を狙っているのかが比較的鮮明だ。イーロン・マスク氏が率いるテスラ(Tesla)は中国で工場を運営しているが、自動運転車やロボタクシーを巡る規制緩和を求めている。
飼料大手カーギル(Cargill)の最高経営責任者(CEO)や航空機大手ボーイング(Boeing)のCEOが同行したのは、この分野で米国製品の輸出契約が予定されているためと受け止められている。ブラックロック(BlackRock)、ブラックストーン(Blackstone)、マスターカード(Mastercard)、ビザ(Visa)、シティ(Citi)といった主要金融会社のCEOが多数加わった点も目を引く。トランプ大統領が5月13日に自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で中国の「市場開放」を求めたように、これら企業がその実務面で役割を担う公算が大きい。
特に目を引くのは、エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアンCEOの同行だ。先端AI半導体の輸出問題が、今回の交渉カードとして活用される可能性をうかがわせる。トランプ政権はエヌビディアの最先端チップ「H200」の輸出を当初は禁じ、その後に認めた。ところが中国政府は逆に、自国企業による同チップの購入を抑える姿勢を見せて警戒している。中国企業が成長するうえではエヌビディア製チップがなお必要だとの指摘は多い。レアアースや重要鉱物の問題を扱う過程で、半導体の輸出規制を一部緩和する案が盛り込まれる余地がある。
第2の論点はイランだ。実際にはこちらの方がより大きな問題といえる。トランプ大統領は5月13日、習近平国家主席について「友人であり、関係は良好だ」と誇示した。イランを巡って長時間協議するといったん口にした後、すぐに「助けは必要ない」と言い換えたが、最初の発言が本音だったとみるのが自然だろう。
今回の会談はもともと3月末に予定されていたが、イラン戦争のため約6週間遅れた。中国との会談を十分に準備する時間はなかった。ホワイトハウス高官は5月11日、記者団に電話で説明した。その内容を総合すると、貿易分野では一定の準備がある一方、その他の分野では議題の広さに比べて具体的な成果を打ち出しにくい案件が少なくない印象だった。
ワシントン政界では、むしろ貿易のような既存の主要争点がイラン戦争を巡る取引材料になるとの見方がある。トランプ大統領が一方的に押し切れる立場にはないという意味だ。トランプ大統領を出迎えたのが習主席ではなく韓正副主席だった点にも、中国が微妙に自らの立場を誇示した側面がある。
中国がイラン問題でトランプ大統領に何らの支援も与えないというシナリオは、想定しにくい。トランプ大統領にとっては大きな面目の失墜となり、習主席にとっても米中関係を悪化させるきっかけになりかねないためだ。北京はこれまで、トランプ大統領をなだめて米中関係を和らげる方向を選んできた。
イランのアッバス・アラグチ外相は、イラン戦争勃発後で初めてとなる5月6日に北京を訪れ、立場のすり合わせを進めていた。中国はイランと事前に協議した内容に沿って、ホルムズ海峡の開放などで何らかの支援に動く余地がある。
焦点は、その見返りとして米国がどのカードを譲るかだ。例えば、米国産農産物の購入規模は予想より見劣りする数字にとどまる可能性がある。5月10日時点では数百億ドル規模が取り沙汰されていたが、2017年のトランプ大統領訪中時に中国が約束した2000億ドル分の購入よりはるかに小さい。
米国は台湾への大規模な武器売却カードを対中交渉で使おうとしているようだ。中国が協力しなければ、台湾への米国製兵器の供給をさらに増やすと圧力をかけるという意味である。ただ、トランプ大統領は追加で売却する予定だった武器契約を承認せず、これを交渉材料として使う考えを示してきた。実際には、イラン問題で譲歩を引き出す見返りとして、台湾問題でもより融和的な姿勢を示し、中国側の立場を受け入れる余地がある。
ワシントン=イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com

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