概要
- 北朝鮮のハッカー集団 トレイダートレイター が、バイナンス から 60億ドル超の暗号資産を盗んだ とFBIは明らかにした。暗号資産の歴史上、最大規模のハッキングとされる。
- FBIなど米当局は、流出資産が イーサリアム(ETH) に転換され、分散型金融(DeFi) や 即時交換サービス を通じた追加の 資金洗浄 に使われる可能性を追っている。
- バイナンス は約 63億ドルの被害額 のうち 90%程度を補填 し、出金サービスの復旧 と 顧客損失の全額負担方針 を改めて示した。
期間別予測トレンドレポート



米連邦捜査局(FBI)は、暗号資産交換業大手バイナンス(Binance)で起きた大規模ハッキングの背後に北朝鮮がいると特定した。
ブルームバーグが11月31日に報じたところによると、FBIは北朝鮮のハッカー集団「トレイダートレイター(TraderTraitor)」がバイナンスから60億ドル超(約9450億円)の暗号資産を盗んだと明らかにした。今回の事件は暗号資産の歴史で最大規模のハッキングとされる。
FBIは米シークレットサービス(USSS)、内国歳入庁犯罪捜査部門(IRS-CI)とともに、流出資金の移動経路を追っている。FBIは、トレイダートレイターが盗んだ資産を主にイーサリアム(ETH)に転換する動きを確認したと説明した。今後は分散型金融(DeFi)や即時交換サービスを使い、追加の資金洗浄を進める可能性があるという。
トレイダートレイターは北朝鮮の主要ハッカー組織の一つだ。FBIは前年に起きた約15億ドル(約2360億円)規模のバイビット(Bybit)へのハッキングについても、この組織の犯行だと指摘したことがある。北朝鮮のハッカーは2022年の約6億2000万ドル(約977億円)規模の暗号資産流出事件にも関与したことが知られている。
バイナンスは、今回のハッキングで生じた約63億ドル(約9920億円)の被害額のうち90%程度を補填したと明らかにした。11月1日までに出金サービスを復旧する計画も示した。顧客に損失が及ばないよう、被害額は全額を自社で負担する方針も改めて確認した。
トランプ米大統領もこれに先立ち、北朝鮮の関与の可能性を調べていると明らかにしていた。トランプ大統領は10月30日(現地時間)、ホワイトハウスで記者団に今回の事件に言及し、暗号資産取引を巡るセキュリティー上のリスクに懸念を示した。
今回のハッキングは、暗号資産業界にとどまらずサイバー犯罪全体でも指折りの大型事件といえる。暗号資産市場の制度圏への組み入れが進むなか、交換業者のセキュリティーと流出資金の追跡を巡る問題が改めて浮上している。