国民年金基金運用本部、暗号資産取引は規制の死角 保有・売買の点検もなし
概要
- 国民年金公団の基金運用本部は、役職員の暗号資産保有・取引を制限する内部規定を設けていない。
- 国民年金は、米国の暗号資産取引所コインベースやビットコイン備蓄企業ストラテジーなど関連企業の株式投資を通じ、市場に間接的にさらされている。
- 実務担当の役職員は、暗号資産の保有・取引申告と定期的な実態点検の義務対象から外れており、別途基準の整備が必要だと指摘されている。
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国民年金公団の基金運用本部の役職員は、株式など金融投資商品の取引では厳しい制限を受ける一方、暗号資産は別個の規制や点検なしに売買できることが分かった。
10月14日、マネートゥデイが報じた。共に民主党のホ・ジョンシク議員が国民年金公団から提出を受けた資料によると、基金運用本部は役職員によるビットコイン(BTC)など暗号資産の保有・取引を制限する内部規定を設けていない。役職員の実際の暗号資産投資の状況を把握するための別途の点検も実施していない。
これは既存の金融投資商品に適用される管理基準とは対照的だ。基金運用本部の役職員は、職務上取得した未公表情報などを利用した不当利得を防ぐため、国内外の個別株やデリバティブ、株式関連債券などを本人名義で売買できない。上場投資信託(ETF)は勤務開始日から10営業日以内に申告しなければならず、勤務時間中の金融投資商品の取引も禁じられている。
国民年金は、こうした規定の順守状況を確認するため、毎年、基金運用本部や監査室、コンプライアンス支援室、国民年金研究院に所属する役職員らを対象に金融商品取引の内訳を点検している。点検対象には配偶者と未成年の直系卑属も含まれる。2020年から2025年6月まで計6回実施した点検では、違反事例194件が摘発された。
2025年に摘発された9件をみると、特定の産業指数に連動するなど取引が制限されたETFを売買した事例が7件で最も多かった。このほか、金融商品取引の事実を監視担当者に適時申告しなかった事例が1件、勤務時間中に許容された金融投資商品を発注した事例が1件確認された。一方、暗号資産は点検対象から外れており、役職員の保有の有無や取引実態を確認しにくい状況だ。
国民年金は現在、暗号資産を直接購入してはいない。ただ、米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)や、ビットコインを備蓄する企業ストラテジー(Strategy、旧マイクロストラテジー)など関連企業の株式に投資する形で、市場に間接的にさらされている。このため、暗号資産に絡む利益相反の可能性を管理する基準が必要だとの指摘がある。
政府は2023年、公職者倫理法の改正を通じて、財産登録義務者に暗号資産の保有内訳も申告させるよう制度を整えた。ただ、国民年金公団で財産登録義務が適用されるのは理事長と常任理事、常任監査に限られる。実際に基金を運用する実務担当の役職員は対象に含まれていないため、暗号資産の保有・取引申告や定期的な実態点検に向けた別途基準の整備を求める声が上がっている。