トランプ氏「イランのカルグ島が粉々に」 AI動画投稿、実際の攻撃は未確認
概要
- イランのカルグ島は、戦争勃発前にイランの原油輸出の約90%を扱っていたエネルギーの要衝だ。
- ホルムズ海峡は、戦争前に世界の原油とLNG輸送量の約5分の1が通過していた主要なエネルギー輸送路だ。
- 米国はイランを圧迫する新たな二次制裁を毎週発表する可能性があり、初期の措置は銀行部門に集中するとした。
期間別予測トレンドレポート



ドナルド・トランプ米大統領が、イランの原油輸出の中枢であるカルグ島が攻撃を受けていることをうかがわせる投稿をした。ただ、実際に攻撃があったかどうかは確認されていない。
ロイターが8月31日に報じた。トランプ氏は自身のソーシャルメディアに「カルグ島が粉々になっている」との短文を投稿し、大規模な爆発を映した動画を添えた。カルグ島は戦争勃発前、イランの原油輸出の約90%を扱っていたエネルギーの要衝だ。
一方、ロイターはカルグ島が実際に攻撃されたことを裏付ける別の証拠は確認できていないと報じた。トランプ氏も投稿で、攻撃の主体や時点、被害の詳細には触れなかった。ホワイトハウスと米国防総省も、コメント要請にすぐには応じなかった。
トランプ氏があわせて投稿した動画は、実写ではなく人工知能(AI)で生成された可能性が高い。ロイターはAI改変画像を検出するソフトウエアで動画を分析し、合成コンテンツの公算が大きいと確認した。
カルグ島はイランのエネルギー産業で中核的な役割を担う。2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃し戦争が始まる前は、イランの原油輸出の約90%がこの島を経由していた。実際にカルグ島が攻撃されれば、イランの原油輸出と経済に相当の打撃を与える可能性がある。
今回の投稿は、米国とイランの軍事衝突が約1カ月ぶりに再開した直後に出た。これに先立ち米軍は、カルグ島の東約660キロメートルにあるホルムズ海峡のララク島で、イランのロケット発射台2カ所を攻撃した。米国がイランを直接攻撃したのは7月末以来となる。
米国側は、イラン革命防衛隊(IRGC)がこの発射台からホルムズ海峡に機雷を投入するためのロケット発射を準備していたと主張した。米中央軍(CENTCOM)は、ホルムズ海峡に差し迫った脅威をもたらした革命防衛隊の機雷敷設能力に対し、「限定的で精密な」攻撃を実施したと説明した。
これに対しイランは、ヨルダン国内の米軍基地2カ所を狙って弾道ミサイルを発射し、報復に出た。ヨルダン軍は国営放送を通じ、自国領空に侵入したミサイル8発を迎撃したと明らかにした。イラン革命防衛隊は、先の米国の攻撃で軍人や民間人の複数が死亡または負傷したとして、追加対応を予告した。
軍事的緊張の再燃を受け、ホルムズ海峡を通過する船舶も急減した。海運データによると、先週末に同海峡の通過が確認された原材料運搬船は1日5隻まで落ち込んだ。ただ、攻撃を避けるため自動船舶識別装置(AIS)を切った船舶もあり、実際の通航量はこれを上回る可能性がある。
米国は軍事行動と並行し、対イランの経済圧力も強める構えだ。スコット・ベッセント米財務長官はロイターとのインタビューで、イランを圧迫する新たな二次制裁を毎週発表する可能性があると語った。初期の措置は銀行部門に集中するとし、金融機関をドル建て金融システムから完全に遮断する措置も今後の選択肢に挙げた。
ホルムズ海峡は、戦争前には世界の原油と液化天然ガス(LNG)の輸送量の約5分の1が通過していたエネルギー輸送の大動脈だ。イランは石油輸出国機構(OPEC)で第3位の産油国で、カルグ島が実際に攻撃されたかどうかや、ホルムズ海峡を巡る追加の軍事行動に市場の関心が集まっている。