米長期国債の買い戻し拡大で「通貨価値希薄化取引」に注目 ビットコインやイーサリアム、ジーキャッシュに恩恵
期間別予測トレンドレポート



米国の政府債務の増加と長期国債の買い戻し拡大を背景に、法定通貨への信認が弱まり、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ジーキャッシュ(ZEC)などの暗号資産が恩恵を受ける可能性がある。
グレースケール(Grayscale)でリサーチ部門を統括するザック・パンドル氏は8月26日付のリポートで、米財務省による長期国債の買い戻し拡大は国債利回りの上昇圧力を和らげる効果がある一方、構造的な財政赤字そのものを解決する措置ではないと分析した。パンドル氏は「財務省は、構造的な財政赤字という病を治せないまま、国債利回り上昇という症状に対処している」と指摘した。
米財務省は最近、長期国債の買い戻し規模を拡大すると発表した。市場で長期国債を買い入れて消却し、リスクとデュレーションを踏まえた国債供給の負担を抑える仕組みだ。グレースケールは、これを緩やかな景気刺激効果が見込める措置と位置づけた。
焦点は、米国の債務増加ペースにある。財務省が買い戻し拡大を発表した同日、米国の公的債務は初めて40兆ドル(約6370兆円)を超えた。世界金融危機後に政府債務は増え続けており、足元では人工知能(AI)インフラ整備に向けた民間部門の借り入れ拡大も加わって、金利上昇圧力が強まっているという。
グレースケールは、こうした環境で「デベースメント・トレード(debasement trade、通貨価値希薄化取引)」が再び注目を集めるとみている。政府債務が制御されないまま増えれば、法定通貨への信認が弱まり、投資家が金や暗号資産といった代替的な価値保存手段に資金を移す可能性があるためだ。
パンドル氏は「制御されない政府債務の増加は法定通貨への信頼を損ない、投資家に代替的な価値保存手段を探させることになりうる」と述べた。そのうえで、デジタル資産ではビットコイン、イーサリアム、ジーキャッシュが主な恩恵を受けるとの見方を示した。