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アーサー・ヘイズ氏「AIエージェントはドルでなく『コンピューティング通貨』使う」
期間別予測トレンドレポート


アーサー・ヘイズ氏(フロップラボCEO)インタビュー
AIエージェント向け決済網「FLOP」
「ドルに代わるAI専用通貨」
プレセール・VCなしでエアドロップ
「AIバブル崩壊は暗号資産に追い風」
「韓国はAIエージェント経済の最適地」

「人工知能(AI)エージェントは、ドルやビットコインではなく、コンピューティング資源と直接交換できる通貨を使うようになるだろう」
フロップラボの最高経営責任者(CEO)を務めるアーサー・ヘイズ氏は8月26日、ブルーミングビット(Bloomingbit)とのインタビューでこう語った。AIエージェントが経済活動の主体として台頭するなか、新たな決済手段が必要になるという。人の介在なしにAIエージェント同士が業務を委託し、代金をやり取りする「エージェント経済」が本格化するとの見通しを示した。
ヘイズ氏は、AIエージェントがすでにコーディングやメール管理、情報収集に活用されていると指摘した。今後は、あるエージェントが別のエージェントに業務を依頼し、その対価を支払う取引が急速に増えるとみている。
「AIにはコンピューティングと直接交換できる通貨が必要」
ヘイズ氏は、AIエージェントが使う通貨はコンピューティング資源と直接結びつく必要があると強調した。ウォンやドルは人間が食品や住居サービスを買うには適しているが、AIエージェントにとっての中核資源は演算能力だという。
同氏は、現在は通貨単位を一定時間の浮動小数点演算量に効率よく変換できる市場が存在しないと説明した。その機能を現物市場で最も効率的に実現する通貨が、エージェント経済の基軸通貨になるとの考えを示した。
既存のステーブルコインやビットコインにも限界があるとみる。コンピューティング資源と直接連動していないうえ、人間と政府を中心に設計された通貨だからだ。
ヘイズ氏は「AIエージェントは弁護士も物理的な身体も持たない存在だ」と述べた。人間経済に合わせて作られた法定通貨よりも、分散型の通貨を選ぶ可能性が高いと続けた。
同氏が最近公開したフロップ・ネットワーク(FLOP Network)は、こうした構想を具体化するプロジェクトだ。個人や企業が保有するGPU(画像処理半導体)などのコンピューティング資源をネットワークに提供し、AIエージェントの演算要求を処理した報酬として独自トークン「FLOP」を受け取る仕組みを採る。
AIエージェントはトークンを支払い、必要な推論作業やコンピューティング資源を利用できる。採掘者は演算能力を供給し、検証者は作業結果を確かめる。AIエージェントとコンピューティング資源の供給者を、分散型市場で直接結びつける構想だ。
ヘイズ氏は、AIエージェントがトークンをコンピューティング資源に直接交換できるようになれば、他のエージェントや人間に対しても対価としてトークンを求めるようになると語った。数百万から数兆のエージェントがこれを保有し取引すれば、巨大な決済網が形成され得るとの見方を示した。
「プレセール・VCなしで公開、供給量の20%をエアドロップ検討」

ヘイズ氏はフロップを通じて経営の前線に復帰した。2014年にビットメックスを共同創業し、暗号資産デリバティブ市場を切り開いた人物である。
同氏は、ビットメックスを立ち上げた当時、暗号資産デリバティブ取引が最も価値のある事業の一つになると確信していたと振り返った。AIエージェントがコンピューティングと直結した通貨を使うようになるとの見立てにも、当時と同じ確信を抱いているという。
さらに、エージェント経済は極めて大きな市場に成長すると展望を語った。これまで生まれた決済網のなかで最も価値の高いネットワークを築く機会があると判断し、再び経営に乗り出したと説明した。
フロップは、プレセールやベンチャーキャピタル(VC)からの出資を受けずにトークンを公開する計画だ。初期投資家にトークンを先行販売するのではなく、利用者、採掘者、検証者のネットワーク参加に基づいて配分する方針を掲げる。
ヘイズ氏は、利用者と採掘者、検証者がネットワーク初期から同じ条件で参加できるべきだと述べた。ビットコインや初期のイーサリアムのように、プロジェクト成長の果実をコミュニティーがともに享受できる構造を作りたいと話した。
運営会社のフロップラボは、メインネット公開後から最初の半減期までの約2年間、ブロック報酬の一部を受け取る。その後は会社に割り当てられるブロック報酬がなくなる仕組みという。
トークン総供給量の約20%については、10月にエアドロップする案を検討している。利用者がテストネットでウォレットを作成し、テスト用トークンでAI推論作業などを実行すれば、利用実績に応じてメインネットのトークンを配布する予定だ。
もっとも、具体的なトークン設計やエアドロップ条件はまだ固まっていない。ヘイズ氏は、コミュニティーの意見を取り入れながら詳細を調整していると明らかにした。まずトークン設計を説明する資料を公開し、ホワイトペーパーは数週間以内に公表する計画だとした。
安全性と信頼性を検証するため、約3カ月間のテストネット運用も実施する。ヘイズ氏は、ソースコードを公開し、誰でも点検できるようにすると述べた。エージェントが安全でないと判断してネットワークを使わなければ、プロジェクトは失敗せざるを得ないと警鐘を鳴らした。十分な検証を経て、実際に機能する技術を示すことが信頼獲得につながると付け加えた。
「AIバブル崩壊は暗号資産上昇の燃料になる」
ヘイズ氏は、AI産業に投じられた巨額の負債が今後、暗号資産市場の流動性拡大を促す可能性があるとみる。AIデータセンター建設のために発行された大規模な社債が国債や投資資金と競合し、市場金利を押し上げるためだ。最終的には米政府と中央銀行の介入につながり得るという理屈である。
米財務省は最近、長期国債利回りの上昇に対応するため、長期債の買い戻し規模を2倍超に拡大する方針を決めた。ヘイズ氏はこれを、米国が緩和的な形のイールドカーブ・コントロール(YCC)に向かう兆候と解釈した。
同氏は、米10年物国債利回りが5%近くまで上がれば、当局は流動性供給を始めると主張した。AIデータセンター投資向けにさらに多くの負債が発行されるほど、それを吸収するための流動性供給も増えざるを得ないとみる。
AI投資ブームがしぼむ過程も、暗号資産市場には上昇材料になり得るとみている。不良化したAI関連債券を処理し、金融市場への衝撃を抑えるため、各国が通貨供給を拡大する可能性があるからだ。
ヘイズ氏は、AIバブルが崩壊し、誤って配分された信用を整理する過程が暗号資産上昇の燃料になると語った。足元では暗号資産市場に「パーフェクトストーム」が形成されているとの認識も示した。
ドナルド・トランプ米大統領の暗号資産に友好的な政策については、市場の本質的な変数ではないと線を引いた。ビットコイン価格を動かす主因は、個々の政治家の政策ではなく通貨供給量だというのが同氏の考えである。
ヘイズ氏は、トランプ氏は他の米大統領と同様、暗号資産市場を決定づける存在ではないと指摘した。ビットコインに必要なのは特定の政治家ではなく、通貨供給の拡大だと語った。
そのうえで、誰が大統領になっても、公約を実行し支持層に利益を配るには財政拡大が避けられないと説明した。トランプ氏が暗号資産にとって良い大統領か悪い大統領かというより、政治家として合理的な選択をしているにすぎないと補った。
「韓国はAIエージェント経済に参加する最適地」
ヘイズ氏は、韓国をフロップ生態系の主要市場に挙げた。インターネット普及率の高さ、AIに対する投資家の理解、半導体産業の基盤を兼ね備えており、エージェント経済の初期成長で重要な役割を果たせるとみる。
同氏は、韓国はAI投資熱の中心にあり、投資家もAI産業の将来性と成長余地をよく理解していると述べた。大企業の高い株を買うだけでなく、新たなAI生態系を初期段階からともに築く機会をつかむべきだと訴えた。
とりわけ、サムスン電子やSKハイニックスなど韓国の半導体企業が、AIコンピューティング市場で中核的な役割を担うと予想した。ヘイズ氏は、韓国は半導体やAIデータセンターに必要な中核設備の生産に強みがあると説明した。最終的に半導体こそがコンピューティング資源を動かす土台になるという。
同氏は9月28日にソウルで開かれるグローバルWeb3・デジタル資産・AIのプライベートカンファレンス「イーストポイント:ソウル 2026」に出席し、AIエージェント経済とフロップの構想を紹介する予定だ。
ヘイズ氏は、韓国は接続性が高く、教育水準も高いうえ、AIの未来に対する信認も強い市場だと語った。韓国の利用者や企業がエージェント経済を理解し、新たな生態系をともに築くことに期待を寄せた。
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