SKハイニックス株170万ウォン超、40兆ウォンの自社株買い・消却で株式分割観測
概要
- SKハイニックスが40兆ウォン規模の自社株買い・消却を発表し、流通株式数の減少と割安感の修正への期待が高まった。
- 株価が170万ウォンを超える皇帝株の水準に達し、個人投資家の投資アクセスと流動性の向上に向けた株式分割の可能性が取り沙汰されている。
- 市場では、SKハイニックスの株価の方向性は株式分割の効果よりも、HBM・メモリー価格・収益性改善など業績のファンダメンタルズに左右されるとの見方が優勢だ。
期間別予測トレンドレポート



SKハイニックスが40兆ウォン(約4兆6040億円)規模の自社株買い・消却を発表したのを受け、市場では次の株主還元策として株式分割への関心が高まっている。株価が170万ウォン(約19万6000円)台に乗せ、個人投資家の買い負担が重くなっているためだ。投資のしやすさや売買の流動性を高める措置が続くとの期待が出ている。
4兆ウォンの自社株を全量消却
AIベースの投資情報プラットフォーム、エピックAIによると、SKハイニックスは8月19日の韓国総合株価指数(KOSPI)市場で前日比9.75%安の150万ウォン(約17万3000円)で通常取引を終えた。世界的な長期金利の上昇で成長株のバリュエーション負担が強まり、外国人投資家の売りも重なった。サムスン電子やSKハイニックスなど半導体大手には利益確定売りが広がった。
ただ、取引終了後に流れは一変した。会社が40兆ウォン(約4兆6040億円)規模の自社株買い・消却計画を公表すると、ネクストレード(NXT)のアフターマーケットで下げの大半を埋めた。終値は前日比2.29%安の162万4000ウォン(約18万7000円)だった。通常取引の終値と比べると8.27%反発し、株価の下支えにつながった。
ユアンタ証券のイ・ジェウォン研究員は、業績改善が実際の株主還元につながる点を評価した。「自社株買いと消却で流通株式数が減れば、1株利益(EPS)の増加と株価収益率(PER)の低下につながる。割安感の修正に寄与しうる」と指摘した。
SKハイニックスは普通株2407万株を市場で取得し、全量を消却する。8月18日の終値166万2000ウォン(約19万1000円)を基準にした取得予定額は40兆43億4000万ウォン(約4兆6050億円)で、発行済み株式の約3.3%にあたる。取得期間は8月22日から11月19日まで。取得を終えた後、1〜2週間以内に全量を消却する予定だ。
規模は証券業界の想定も上回った。ハナ証券は当初、2026年のSKハイニックスの株主還元総額を40兆〜60兆ウォン(約4兆6040億〜6兆9060億円)と見込み、このうち自社株買いを20兆〜30兆ウォン(約2兆3020億〜3兆4530億円)と予想していた。実際には自社株買いだけで40兆ウォンに達したうえ、追加の還元策も予告したため、総還元額は従来予想を上回る公算が大きい。
ハナ証券のキム・ロクホ研究員は「40兆ウォンの自社株取得は株主にとって明確にプラスだ。想定していた20兆〜30兆ウォンの自社株買いを上回り、追加の還元策も共有される予定で、当初見通しを超えるだろう」と語った。
170万ウォン超の株価、株式分割要求は強まるか
株主還元の拡大と並び、1株あたりの高い価格も市場の関心を集めている。SKハイニックスの8月21日の終値は170万ウォンを超えた。いわゆる「皇帝株」の水準に達したことで、株式分割の可能性を巡る思惑が強まっている。1株100万ウォンを超える銘柄が分割で値ごろ感を高めれば、より多くの投資家が参加しやすくなり、株価の押し上げにつながるとの期待が一部にある。
株式分割は文字通り、株式を分けることだ。一定の比率で株数を増やす措置を指す。例えば投資家A氏が1株100万ウォン(約11万5000円)の株式を1株保有しているとする。会社が10対1の株式分割を実施すれば、A氏は1株10万ウォン(約1万1500円)の株式を10株持つことになる。
企業価値を直接変えずに1株あたりの価格を引き下げる手法でもある。発行済み株式数が増える分、1株あたりの価格は同じ比率で下がるため、時価総額は変わらない。一方で、個人投資家の参入障壁を下げ、売買の活性化や流動性の改善が見込める。
SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長は、7月に米ニューヨークのナスダック本社で開かれたSKハイニックスの米国預託証券(ADR)上場オープニング行事後の記者懇談会で、株式分割の可能性に言及した。個人投資家のアクセス向上に向けて株式分割を検討しているのかとの質問に対し、「要請がさらにあれば、当然検討する」と述べた。グループの最終意思決定者が可能性を閉ざさなかっただけでも、投資家の注目を集めるには十分だった。
ハンファ投資証券のオム・スジン研究員は「1株の価格が数十万ウォンや数百万ウォンと高すぎると、個人投資家には買いづらく、売買高も低水準にとどまりやすい。株式分割で1株あたりの価格を下げれば、個人投資家のアクセスは改善し、取引も活発になって需給規模が膨らむ」と説明した。
過去にはサムスン電子も同様の道をたどった。サムスン電子は2018年5月、1株250万ウォン(約28万8000円)を上回っていた株式を50対1で分割して再上場した。額面価格は5000ウォン(約580円)から100ウォン(約12円)に下がり、株価は5万ウォン台(約5800円台)となった。分割上場初日の売買高は従来の100倍超に膨らみ、1日の売買高として過去最高を記録した。多くの小口投資家が流入し、サムスン電子は「国民株」の地位に上がったと評価された。
株式分割が株高を必ず保証するわけではない
もっとも、株式分割をしても株価上昇が必ず約束されるわけではない。企業価値そのものは変わらないためだ。かつてと異なり、上場投資信託(ETF)や単元未満株取引など、個別銘柄を代替できる投資手段が増えた。株式分割が好材料として作用する余地は小さくなったとの見方もある。
ユジン投資証券のホ・ジェファン研究員は「株式分割のイベントが起きると、個人投資家が参加しやすくなって流動性が高まるため、株価が一時的に上がる効果はありうる」と分析した。一方で「流動性改善の効果はあっても、企業の本質的な価値への影響は大きくないとみるのが妥当だ」と付け加えた。
業界関係者は、SKハイニックスの株価の方向性を左右するのは株式分割の効果よりも業績の基礎体力だとみる。AIデータセンター向けを中心とした高帯域幅メモリー(HBM)の需要拡大、メモリー供給の調整、価格動向に伴う収益性の改善が焦点になるという。
カン・ギョンジュ記者 qurasoha@hankyung.com
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