米財務長官、FRBに円支援枠拡大を公然要請 独立性に波紋
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スコット・ベッセント米財務長官が、日本の円買い介入を支える米連邦準備理事会(FRB)の流動性供給枠の拡大を公に求め、FRBの独立性を巡る議論が広がっている。
ブルームバーグが8月3日に報じた。ベッセント長官は、日米が共同で円相場の市場介入に踏み切った後、FRBの「外国・国際通貨当局向け(FIMA)レポ制度」の拡充が必要だと言及した。
ベッセント長官は自身のソーシャルメディアで「FIMAは日本の市場安定化の取り組みに重要な役割を果たしている」と表明した。あわせて「今後数カ月以内にこの制度が拡大されることを期待する」と書き込んだ。
FIMAは、外国の中央銀行や政府が保有する米国債を担保に、短期のドル資金を調達できる制度だ。日本が円買いのために米国債を直接売却する代わりにこの枠組みを使えば、米国債市場への打撃を和らげられる。
日本側もこれを正式に認めた。片山さつき財務相は、日本が前週に円買いに動き、今後もFIMAを活用する方針だと明らかにした。一方、FRBはこの件についてコメントを控えた。
財務長官がFRBの政策変更を公の場で求めるのは異例と受け止められている。元米財務省高官のマーク・ソーベル氏は「過去には、財務長官がFRB政策に関する問題を公然と取り上げるのを極度に嫌った」と語った。そのうえで「必要であれば、FRB議長と非公開で協議していただろう」と指摘した。
FIMAの取引上限の拡大には、連邦公開市場委員会(FOMC)傘下の外為小委員会の承認が必要になる。
今回の発言は、トランプ政権がFRBに政策金利の引き上げを控えるよう圧力をかけるなかで出た。ベッセント長官はこれに先立ち、ドル覇権の強化に向けて、より多くの国に通貨スワップを広げる案も示していた。
米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の上級研究員で、FRBの元局長でもあるスティーブン・カミン氏は「日本がどうせ円防衛に動くのであれば、米国債を大量に売るよりFIMAを使う方がFRBにも有利だ」と評価した。
クラークタワー・グループのエリック・ウォラースタイン主席マクロストラテジストは「FIMAは米国債を担保とする短期融資であり、FRBが負うリスクは大きくない」と説明した。
一方、ウルフ・リサーチのトービン・マーカス氏は「要請そのものよりも、財務省がこれを公然と求めた点が極めて異例だ」と述べた。